ヒルクライム 実験

ヒルクライムでは、25cと28cどちらの幅のタイヤが速いのか?


「ヒルクライムでは、25c28cどっちの幅のタイヤが速いのか?」

今回の実験テーマは「タイヤの幅とヒルクライムのタイム」についてです。以下、コンチネンタル GRAND PRIX 5000CL 28c ファーストインプレッションの記事と若干文面が被りますがお許しください。

この記事を作成している2023年現在、ロードバイクのタイヤはどんどん幅広化が進んでいます。ちなみに、筆者は、2023年現在25cを常用しています。28cは、23c時代を知っている事もあり、幅が広すぎるという先入観があります(厳密には「ありました」です)

一方で、プロを含めてこれだけ幅広タイヤが市民権を得ているのは、相応の理由があると思います。ヒルクライムレースを頑張りたい勢の私としては、もし幅広タイヤの方が登坂において有利なのであれば、使わない理由はありません。実際、走行感は非常に良かったので。

と言うことで、今回はこれを実際に走って確かめてみました。

いつもの如く、結論だけを知りたい方のために先に結論を書きます。

  25c 28c
Lap1 265w : 13:05 265w : 13:12
Lap2 265w : 13:04 265w : 13:11

平均勾配5.4%、登坂距離4.42kmのヒルクライムにおいては、25cの方が登坂1本あたり約7秒速かった。これを富士ヒルに置き換えると、秒38程度の差になると考えられる※。

以上の結果となりました。

後述しますが、近日中にvol.2をやってみたいと思っています。走った筆者の主観にはなりますが、上記結果は風の影響があった可能性を否定出来ません。個人的には、28cはもっと速いのでは?という仮説を持っています。

実験のきっかけ

導入にも記載しましたが、筆者がロードバイクに乗り始めた2008年頃、タイヤの幅は23c(23mm)が一般的でした。ところが、様々な分析・技術の進歩により、太いタイヤの方が速く走ることが分かってきました。

ざっくりまとめると「速いタイヤは『転がり抵抗が小さい』事が重要であり、それは23cのような狭いタイヤよりも幅の広いタイヤの方が小さい」

もう少し深く説明すると、タイヤは、路面の凹凸を通過する時やコーナリング中変形します。この変形が、走行抵抗になります。この変形量が、幅の広いタイヤの方が小さいので、イコール速いという理屈です。

本記事の目的は技術の解説・説明では有りませんので、詳細は割愛します(色々書くと筆者の無知がバレるからというのも大きな理由ですが)詳しく知りたい方は、こちらの記事が参考になると思います。

一方、タイヤの幅を太くすることによるデメリットもあります。重量の増加です。

本ブログを読まれている方は既に耳タコだと思いますが、ロードバイクは、足回りの軽量化が重要です。特にヒルクライムにおいては、タイムに直結する要素のひとつです。

太いタイヤを履くという事は、この「常識」に逆行してしまいます。

ここで、いつもの如く素朴な疑問が。

「昨今のタイヤワイド化を鑑みるに、幅が広い方が『総合的に』速いのはまあ間違いないのだろう。けど、『綺麗な舗装路のヒルクライム』においても、重量が嵩む幅広タイヤの方が速いの?」

コレを確かめてみたくなったのが、実験のきっかけです。

各種実験条件

比較対象タイヤ

  • Continental GrandPrix5000 CL 25c
  • Continental GrandPrix5000 CL 28c

新品時点での25cと28cの重量実測値は、以下の通り。23cの方が、前後計13.5g軽い。

チューブは、どちらのタイヤでもVittoriaのラテックスチューブを使った。

空気圧は、25cを5.028cは4.8とした。実験前の時点で、25c1,000km程度走行済み(Strava調べ)28cは新品を新たに購入したため、実験の前に計100km程度テスト走行した。

バイク

  • フレーム:Bianchi Specialissima Disc2021 車重:7.6kg(メーター・ペダル込み)
  • ホイール:Mavic CosmicSLR45 (2021年式・リム内幅19mm)
  • メインコンポ:Shimano Ultegra12s

実験コース

勝尾寺ヒルクライム(平均勾配5.4%、登坂距離4.42km)

実験に際しての、その他条件

基本的な条件は、「エモンダ vs スペシャリッシマ」と同様です。

  • 両タイヤで2本ずつ計4本、すべてLap平均パワーが265w(4.4w/kg)になるよう登坂する。
  • 空気抵抗が同じになるよう、全行程ブラケットポジションのシッティングで登坂する。上ハンには持ち替えない、ダンシングはしない。
  • 風向きや気温上昇に伴う気圧変化etcの自然現象や、横を通過した車両の数は、筆者にコントロール出来ない事象なので考慮しない。
  • パワーメーターは、「Assioma Duo」を使用した。1本目の走行前に、メーカー指定の方法(スマホアプリ)でゼロ校正を行った。
  • 25c28cの各1本目のスタート前に、ボトルを満タンにした。飲水は登坂中には実施せず、登坂後山頂にて実施した。

結果

  25c 28c
Lap1 265w : 13:05 265w : 13:12
Lap2 265w : 13:04 265w : 13:11

冒頭に記載した通り、若干風向きの影響を受けた気はしますが、今回においては25cの方が全体的に良いタイムを出しました。

考察・感想・雑感その他

実験当日ですが、午前中から「25cTLR → 25c CL → 28c CL」の順で走行しました。25c TLR vs 25c CLの記事は、こちらよりどうぞ。

25cCLから28c CLにタイヤを交換した際、なぜかバルブコアから空気が漏れ出し、その修理に手間取った結果走行の間隔が1時間近く開いてしまいました。その間に、風向きと強さが若干変わってしまったようで、条件が25cの時よりも少々悪かったように感じます。あくまで、筆者の体感ベースにはなりますが。

このような背景もあり、今回の結果で「25cの方が良い」と記事をまとめるのは難しいと考えています。近日中に、別ルート・別のホイールを使ってvol.2を実施する予定です。

なお、28cの皮剥き走行時の感触・実験当日の走行「感」だけの話をすれば、25c28cではヒルクライムの性能はほとんど無いと感じました。

まとめ

残念ながら、今回はやや歯切れの悪い感じの結果になってしまいました。

事前の体感ベースでは、25c28cにヒルクライム性能の差は無いように感じました。加えて、前後計13gの重量差でタイムに差がつくとも考え難いです。ただ、実際にテスト走行してみるとタイム差は発生しました。これが風の悪戯なのか、本当に25cの方が優位なのかは、個人的にも非常に興味があります。

宿題がまた一つ増えてしまいましたが、後日実験してみようと思います。


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