先日、表題の『トロント最高の医師が教える 世界最新の太らないカラダ』を読み終えました。
ヒルクライムレースを頑張りたい勢の私にとって、体重は自転車の重量と同様に気になる項目のひとつです。自転車の軽量化に拘る人ほど、ご自身の軽量化にも関心が高いものと思います。
ココでも書きましたが、自転車をダイエットさせるのは大変です。最初は比較的ラクでも段々と大変になっていくのは、人間と同じでしょうか。最終的には、数10g削る為に1万円の世界になっていきます。
その代わり、自転車は1回お金を払えば確実に「ダイエット」が成功します。リバウンドはしませんので、基本的にはずっとその体重をキープしてくれます
一方、人間の体重は日々増減します。普段から頑張って節制をしても、何らかの拍子に暴飲暴食をすれば、数日後にはそのツケを払わなければなりません。
結局のところ、おカネを掛けて自転車を数100g軽くしたところで、人間が数kg単位で太ってしまったら何の意味もありません(戒めを込めて)。
この辺りが、サイクリストがダイエット(体重を増やさない)に関心がある理由だと思います。
そんなとき、SNS内で複数のフォロワーさんが、表題の書籍を紹介していました。(参考程度の情報ですが)Amazonのレビューも、高く評価したコメントが目立ちます。タイトルも面白そうだったので、私も電子版を購入し読んでみました。
いつもの如く、先に読んだ感想を述べます。一言で言えば
本書で紹介されているダイエットは、「太ってしまった一般人(=非サイクリスト)が、標準体重に戻すための方法」という印象を受けました。
即ち、私たちサイクリストのような「日常的に運動をしていて、体重は標準の範囲内に収まっている人間が、運動パフォーマンスを上げるために痩せる方法」は得られないのではないか?という感想をもちました。
個人的には、書籍内で紹介されている太るメカニズムや太る食品といった情報は、参考になると思います。従って、購入して読む価値はあったと思いました。
ただ一方、ダイエットは日々のトレーニングに支障がない範囲ですべきではないか?と感じています。
本を読もうと思った理由・きっかけ
私たちサイクリスト(特にヒルクライムを頑張りたい人)は、「もう少し痩せたら、もう少し速く走れそうなのになー」と考えると思います。根底に「軽い=速い」の図式があるからでしょう。
近年こそ、ロードバイクは単に軽いだけではダメで、空力性能が要求されます。ただ仮に、「空力性能やコスト・耐久性はイコール・違うのは重量だけ」という部品が存在すれば、基本的にはほとんどの方が軽い部品を選ぶと思います。
コレは、自転車の動力源でありオモリでもある、人間にも当てはまります。つまり、「出せるパワーは維持しながら、なるべく体重を落としたい」。
これを実現するための方法や、考え方のヒントあればいいなぁと思い、本書を購入しました。
私が体重を増やさないように気を遣っていること
パワーを出す方法は別途考えるとして、この記事内では体重を増やさない・落とす方に話を絞ります。以下、私が体重を増やさないために気を使っている項目を列挙します。
A:徹底していること
- 甘い飲物は、自転車に乗っているとき以外飲まない
- アイスクリームを食べない
- ケーキ・菓子パン等「甘いクリーム」は、お祝い事etcイベントの時以外は食べない。
「固体でない砂糖・甘味料」は、体への吸収が速く太りやすいと目にした事があるので、極力摂取しないようにしています。クッキーやフィナンシェetcの、甘くても固体のお菓子は、時々食べます。
これらは「徹底している」と言いつつ、個人的には頑張って我慢している感覚はありません。習慣として定着できたのか、そもそも大して好きではないのだと思います。
B:ちょっと気を使っている事
- ラーメン
- ファーストフード全般
- スナック菓子(ポテチetc)
- 揚げ物
何となく「太りそうな食品たち」ですが、これらは、週1回程度であれば「食べたいな」と思ったときは口にしています。コレらは、Aとは違い、好物ばかりです。あまり我慢しすぎても疲れますので。
ただ、全部合わせても基本は週1回程度。特に食べたいと思わなければ、数週間口にしない事もあります。
C:あまり我慢できていない事
- ビール
- ビール以外の糖質を含むお酒
- 糖質を含まない蒸留酒
- 要は、お酒全般
ビールを含むお酒は、週2~3回程度口にしていると思います。
ダイエットの観点で言えば、蒸留酒であれば太らないと説明している記事も散見されます。ただ、そもそもアルコールの摂取が身体に良くないはずなので、なるべくなら控えた方が良いとは思います。
という、こんな感じの食生活で、10数年体重は58kg~62kgの間に収まっています。基本的には冬はやや増加、春先~秋口までは下限を維持しているイメージです。
ただ、これが習慣としてよいのか、悪いのか。また、何かしらの改善を加えることで、もう少し体重を落とすことは出来るのか?
これを、改めて確認したくなりました。
書籍の概要
私なりにざっくりまとめると、以下のような内容です。詳しくは、本書をご購入頂きご自身の目でご確認下さい。後述しますが、読み物としては面白いと思います。
体重は、減らせば増えるし増えれば減るようにプログラミングされている。そもそも、肥満の70%は遺伝。
(中略)
よって、ダイエットをしたければ定期的に24~36時間程度のファスティング(食べない)するのが有効である。
以上が、私の本書の解釈です。
個人的に参考になると感じた箇所
第2部の3章
第2部の3章に、以下のような記載があります。(私は電子書籍版を購入して読んでいるので、具体的なページ数を記載出来ません)
“摂取カロリーを30%減らすと、消費カロリーも30%減少するといったように、摂取カロリーの減少は消費カロリーの減少を招く。結果的に、人間の体重の減少は最小限にとどまるようにできているのだ(原文引用)”
これは、肌感覚的に理解が出来る内容です。
私の場合、冬場に暴飲暴食を繰り返しても、62kgぐらいまでしか体重は増えません。確かに「これ以上増えたら戻すのが大変になりそうだから、この辺りで歯止めを掛けている」というのも有ります。
ただ、それを踏まえても、これ以上増やそうと思ったら単に欲望のままに食べるだけではダメで、「意識的に暴飲暴食する必要がある」という感覚があります。
逆に、シーズン中(自分の中では)節制して体重を落とそうと努めても、57.5kgくらいが関の山。それも数日で58.5kgくらいに戻ってしまいます。そして、よほど不摂生をしなければ、58.5~59.5kgの間でレース本番を迎えています。
これは、2011年秋に大阪に引っ越してきてから今まで、全く変わっていません。
当時一緒に練習していたヒルクライムの速い先輩からは「キミの身長ならもう少し痩せろ」と言われたのですが、苦労した割に対して速くなりませんでした。
そんな事もあり「いま57kgまで落ちました」とか、当時は適当なこと言ってました。もう時効ですね。
ということで、前述した「体重は体が決めている」という話も加味すると、今のところ私は体重が59kg前後になるようにプログラミングされているのだと思います。
第6部全般
1部~5部までは、肥満のメカニズムに関して (前述したインスリン云々の話)延々と記載されており、6部でやっと「どうすれば太らないか」という話が始まります。
この、第6部は全体的に参考になりました。
何を食べるべきか、何は食べない方が良いのかetcが記載されています。書かれていること全てを実施するのは難しいと思いますが、知識として知っておいて損はない内容だと思います。
ブログ記事において書籍の内容をどこまで詳しく書いて良いのか分からないので、詳細は伏せます。
ただ、前述した「私が気をつけている事」は、まあまあ悪くないなと感じました。
あまり参考にならないと感じた箇所
「体重を落としたければ、ファスティングが有効」という、本書の主張
どこを引用すべきかが難しいので明確な引用はしませんが、本書の主張は「体重を落としたければ、定期的なファスティングが有効」というものです。
しかし、本書の1ー5章で繰り返し記載されている
- 身体は、元に戻ろうとする
- 薬でもホルモンでも何でも、段々効かなくなる→より強いモノ・刺激が必要になる
コレらが事実であれば(肌感覚的にも事実な気がします)、ファスティングも同じでは?と感じました。
本書内では、24時間~36時間程度のファスティングを紹介・推奨していますが、これも最初こそ体重を落とす効果はあると思いますが、段々と「効かなく」なるのでは?と思いました。
また、ファスティングに批判的な意見に対する反論として、随所に「人間には、ファスティングに耐える為の仕組みが備わっている」といった旨の記載があります。
ただ、個人的には「仕組みが備わっている事と、その仕組みを常用することは別の話ではないか?」と思います。
電車でもクルマでも、非常電源や非常ブレーキは緊急時に最後の手段として使うモノです。それをアテにして、通常電源の充電を怠ったり、手入れをしない理由にはなりません。
加えて、前述した“何でも段々効かなくなる”の理屈に基づけば、非常ブレーキが段々作用しにくくなる(発動しにくくなる)のでは無いか?という懸念が生じます。
もし本当に「緊急時」に遭遇したとき、身体が速やかに緊急モードに入れるのか疑問に感じます。(逆に、日常的に「緊急モード」に入れているからこそ、いざ本当の緊急時にも適応出来て良いのかもしれませんが)
ただ、それはダイエットとは全く別の、単に危機への対応力や適応力の話です。
ということで、まとめます。
書籍として公にされている以上、それなりの論拠・安全性は担保されているのだとは思います。ただ、個人的には積極的に試してみようという気持ちにはなりませんでした。
考察・感想・疑問
ファスティングとトレーニングは両立出来るのか?
筆者はファスティングをやった事が無いので、コレは想像の域を出ません。
ただ、ご存知の通りサイクルロードレースやヒルクライムのレースを頑張りたければ、日常的にトレーニングが必要です。土日だけでなく平日も、実走もしくはZwift等で運動している方が多いと思います。
書籍内では、「ファスティング期間中の運動はOK」と明確に記載されています。ただ、個人的にはトレーニングの質・量を維持しながらファスティングが出来るのか、疑問です。
サイクリストであれば、まず「必要な強度・時間トレーニングをする」事が大事では無いでしょうか?そしてその為には、一定量の食事(糖分の補給)が必要だと思っています。
食事量・回数を減らすのは、トレーニングの質を落とさない範囲内でやった方が良いように思います。
フォロワーさんの中には出来ている方もいらっしゃる様ですが、それが誰でも出来るのか・その方が特別なのかは分かりません。
サイクリストにとって、体重を落とすのは目的では無い
私たちは「体重は軽い方が、よい成績を出せる」と考えて減量に励んでいます。ただ、もしその道のプロに「あなたは、今より良い成績を出したければ、体重を2kg増やした方がよい」と言われたら、どうしますか?
私なら、即増やす方向にスイッチします。
私たちサイクリストにとって、ダイエットは成績向上の為の方法であって、目的は成績の向上のはずです。
「ダイエットに成功して57kgになったけど、力が入らなくてタイム出ません」では全く意味がありません。
目標のため・ありとあらゆる努力を重ねた人が最後にもうひと伸びするために、瞬間風速的にダイエットに励むのはアリだと思うし頑張って欲しいと思います。時期的に、富士ヒルに向けてダイエットを始めてる人も多いと思います。
とはいえ、目的と手段が逆転しないよう、日々注意が必要かなと。
まとめ
「沢山食べればその分燃える。燃料を減らせば身体も省エネになる」という仕組みが身体に存在する以上、各自の適正体重から大きく増減させることは容易ではないと思います。
本書に記載されていた内容を参考にしつつ、私も目標とするレースに向けて「自分の適正よりややマイナス」くらいを維持していこうと思います。