考え方

「良い自転車ショップ」と出会うには、どうすれば良いのか


先日、有料会員サイト「ラルート」にて「幸せなショップの選び方」という記事を読みました。この投稿では、その記事を読んでイチユーザーとして感じたことをそのまま書こうと思います。

厳密にいえば、以前からショップとユーザーの関係には思うところがあり、いつか記事にしようと下書きで在庫はしていました。それを、ちょっと修正して公開する感じです。

なお、先に予防線を張っておきますが、記事の長さの割に大した結論は書かれて無いです。今、自分がなんとなく感じている事を文字に起こしたのですが、同じような事を考えている方が思考を整理する程度の価値しかないと思います。この記事で「これが正解」という方法をお示しする事は、出来ません。少し道が開ける人がいれば、それで十分かと。

では、いつもの如く本題の結論です。

私は、表題の問いに対する明確な答えは、分かりません。あえて言うなら

  • 自分が、ショップに何を求めているかの優先順位をつける
  • ショップの「見た目」に惑わされない
  • ショップよりも、信頼できるスタッフと繋がりをもつ

ことができれば良いのかな?とは思います。

良いショップとは

そもそも「良いショップ」という単語の定義が曖昧です。以下、「良いショップ」という評価を受ける為に必要であろう要素を、適当に挙げてみました。

  • 自分の欲しいメーカーを取り扱っている
  • メーカー・代理店とのパイプが太い
  • 接客対応・コミュニケーションが良い
  • 店頭で実車を見ることが出来る、展示車が豊富にある
  • 店が長続きしている・スタッフが長く勤めている
  • 整備・技術レベルが優れている
  • 突発的な整備を受けてくれる
  • スモールパーツや消耗品の在庫が潤沢
  • 販売価格が良心的
  • 自分の生活圏に立地している
  • 営業時間内に行く事が出来る
  • 店の整理整頓が行き届いている
  • 店主催の走行会・イベントがある
  • (女性サイクリストの場合)女性スタッフが在籍している

いくらでも抜け漏れはあるでしょうが、ざっとこんな感じでしょうか。

どれだけの人が気にしているのは分かりませんが、メーカーや代理店とショップの関係は、結構重要だと思います。人気バイクの場合、メーカーや代理店と関係が太いショップが優先的に卸される、なんて事があるとかないとか。スペシャリッシマなら、どの店でも即納だと思います。

ここで言いたいのは「これら全てを兼ね備えたショップが自分の生活圏内にある可能性は、ゼロに近い」という事です。婚活に「普通の男性」が滅多にいないのと理屈は同じです.

私たちユーザーは、「ショップに何をして欲しいのか」を取捨選択する必要があります。この時点で面倒くさいですね。

接客か技術か

例えば「接客対応」と「整備の技術」という2軸だけで比較しても

  • 接客対応良い 整備技術良い
  • 接客対応良い 整備技術ダメ
  • 接客対応ダメ 整備技術良い
  • 接客対応ダメ 整備技術ダメ

世の中にある全てのショップは、漏れなくこの4パターンいずれかに分類されます。

多くの人は、「接客対応も技術も良い店に行きたい」と思うのではないでしょうか?逆に、「接客対応も技術もダメな店」は、絶対に行きたくないと思います。筆者も同じです。

では、

  • 接客対応良い 整備技術ダメ
  • 接客対応ダメ 整備技術良い

この場合、どちらを優先すればよいのでしょうか?これ、分かり易く「良い・ダメ」と書いていますが、一概に100:0の比較では無い筈です。むしろ多くの場合

  • A店:接客対応50点 整備技術80点 計130点
  • B店:接客対応90点 整備技術60点 計150点

このような点数で比較する事になると思います。

そして、仮にこのケースであれば、合計点はB店の方が高いです。従って、AとBの店をこのように評価した人にとっては、B店の方が良い店です…とは一概に言えない事が、この話を更にややこしくしていると感じます。

なぜ「B店が良い」と必ずしも言い切れないのか

接客対応が良いショップ=良いショップとは言い切れないからです。

その人の採点によると、B店は接客対応が非常に良く、そこで点数を大きく稼いでいます。小売業である以上、接客対応は必ず発生する業務です。従って、ユーザー側からしても、同じ金額で同じ物を買うのであれば、接客対応が良い店から物を買いたいと思うのは自然な感情です。

ところが、今回購入する「物」は衣類・スマホでは無く「自転車」です。スマホと違い、自転車は定期的にメンテナンスをする必要があります。そのメンテ、自分で出来れば良いのですが、専門的な工具・知識が必要です。時間や場所も掛かります。

全てを自己完結できればそれで解決するのですが、それが出来ない場合は、誰か(ショップ)に作業をお願いしなければなりません。ここで、ショップの整備技術が問われます(厳密に言えば、納車前にも問われますが)。

先の例の場合、確かにB店の方が合計点は高いです。ただし、整備技術に関してはA店の方が上です。整備技術の良し悪しは、各種ケミカルの選定にはじまり、作業の正確性等多岐に及びます。これらのレベルが高いと、安全性の担保や自転車の「保ち」に繋がります。工期も技術の一部に入れて良いかもしれません。

何が言いたいかと言うと、技術は高いに越したことはありません。100に近ければ近いほど良いです。

一方、接客に関しては「不快じゃなければOK」というのが私の考え方です。偉そうな言い方で申し訳ありませんが、合格ラインさえ越えていれば点数は不問。受験と一緒で、60点も100点も合格は合格です。

A店の50点が「合格ライン」かどうかは、人によると思います。そもそも、50点という点数にも、その人が主観的につけた点数にすぎません。同じ対応をされても、その人が50点と感じれば50点だし、75点と感じる人も居るはずです。

接客はともかく、技術をどうやって評価するの?

分かりません。

早々に身も蓋もない事を言って申し訳ないと思いますが、正直筆者には分かりません。後述しますが、筆者は当時(いまも)ショップを見る目が無く、それなりに嫌な思いをした経験があります。これは、読まれている方に寧ろ教えて欲しいくらいです。

  • その店が、知人からどのような評価を受けているか
  • その店が、どれくらい長続きしているか
  • その店が、技術的な事を発信しているか。していれば、それはどのような内容か
  • その店に作業を依頼したとき、バイクはどのような状態で帰ってくるか

これらから、総合的に判断するしかないのでは無いでしょうか?

少なくとも

  • 返されたバイクのフレームが、グリスまみれでベトベトだった
  • ホイールを預けたら、チューブレスタイヤの空気が抜けてビードが落ちて帰ってきた
  • TREK専門店にも関わらず、TREKの専用部品を取り付け忘れた

このようなショップは、幾ら接客が丁寧であっても個人的にはオススメ出来ません。まあ、全部同じ店なんですけど。

エピソードのご紹介

もうご存じの方も多数いらっしゃるかもしれませんが、筆者は以前にとあるショップとひと揉めしています。

経緯としては

  • とあるTREK専門店でフレームを購入。コンポ(スラム機械式)は当時乗っていたバイクから移植
  • スラム機械式コンポで納車される
  • 1年後、私がコンポをeTapに組み替え
  • その更に10ヶ月後、走行中にFD台座が破損
  • ショップが代理店に問い合わせたところ、FD台座が割れた理由はトレック専用部品の取り付け漏れが原因と判明
  • 筆者は、専用部品の存在を知らなかった。従って、eTapに組み替えた際に、その部品は取り付けていない
  • 納車当初の写真を数枚確認すると、最初から取り付けられていないように見える。また、当該部品は未開封のまま自宅に保管されていた
  • 後日、私がトレックジャパンに確認したところ、その部品を取り付けない理由は無い。取り付けは必須。
  • これ、誰が悪いの?

大雑把にいうと、このような経緯です。

この話、取り付けが必須の部品であれば、そもそも後付けにせず、その機能を車体に組み込めば済む話です。メーカーの設計の意図が、分かりません。

FD台座が割れた事について、確かにショップに直接的な責任はありません。eTapに組み替えた際、私が専用ワッシャーを使わなかったのが一番の問題だからです。そして、仮に元々取り付けてあった部品を私が組み替え時に外したのであれば、100%私の落ち度でオシマイです。これなら、ある意味良かったのです。

問題は、納車当初より組み付けられていなかった可能性が非常に高いことです。

なお、先に顛末を言うと、台座を修理してその修理代をショップに支払って貰いました。

その機能を、車体に組み込んだ図

ショップ側の言い分

まず、筆者が代理店に

「専用部品を取り付けない合理的な理由(特定のコンポでは変速不良が起こるetc)はありますか?」

と問い合わせたところ、「有りません。必ず使ってください。メーカーが想定しない使用に伴う破損は、メーカー保証対象外になります」との回答を得ました。

次に、この内容を踏まえて

「自宅から、何故新品未開封の当該部品が出てきたのか?フレームを購入すると、この部品はわざわざ2個同梱されるのか?」

これをショップに問い合わせた回答が、以下です。

基本、「店名」でも指定のあるすべてのカーボンバイクに使用しています。

使用していない場合は、その時に使用しない理由があり、またその際の説明もさせていただくようにしております。

今回「筆者の名字 様」に送っていただいた写真を見る限り、ご納車当時はSRAMのワッシャーを使っているようにみえます。

何かしら意図があり使用したと思われますが、時間が経ち明確な理由がはっきりしません”

その後のやりとりで、「購入後のアフターケアが行き届かなかったお詫び」はありましたが、「納車時の組み付けに関するお詫び」は有りませんでした。

私の言い分

メーカーが「絶対使ってね、保証効かなくなるよ」という部品を、ショップが使わない理由はありません。もし、定価50万円のフレームが保証対象外になるリスクを背負ってまで「その部品は使わない」選択をしたのであれば、相応の理由があった筈です。それほどの理由を、ショップユーザー双方が全く覚えていないというのは、極めて不自然です。

本来、1枚目の黒い楕円形の部品を、2枚目のように挟んで組む必要があります。

ところが、納車当初の写真(1枚目と2枚目)を見る限り、専用ワッシャーは使われてないように見えます。これは、筆者とショップ双方共通の認識です。割れた時の写真は、3です。筆者はこの専用ワッシャーの存在を割れるまで知りませんでしたので、当然使っていません。

繰り返しになりますが、ショップの納車当初の作業と台座が割れた事の因果関係は、弱いです。

ただ、”何かしら意図があったと思われますが、時間が経って分からない”という内容のメール返信は非常に言い訳がましく、ショップとの付き合いを考える必要があると考えました。

対策はあるのか

この項も「こうすればOK」という案は、残念ながら思い浮かびません。

先の例

  • 「組み付けミスがあった」と認めるには、証拠不十分
  • 「TREK専門店がTREK専用部品を組み付け忘れた」は、立場上認める事ができない
  • 仮に納車時にその部品が組み付けられていなかったとして、FD台座割れとショップは関係無い(これはある程度正しいです)

ショップが、どのように判断して先の対応になったのかは、筆者は知る由もありません。

確かに、ショップに「十中八九恐らく、納車前の組み付けミスです。すみませんでした」と言わせたところで、台座が元に戻る訳では有りません。納車時の組み付けの問題と台座割れの因果関係が弱いのも、事実です。よって、それ以上そこに関しては追求しませんでしたが。

ただ、その後のやりとりも含めて「このショップは信用するに値しない。これ以上、自分のバイクを預ける事はできない」と判断しました。

仮に、スペシャリッシマを組んで貰ったショップで上記と同じような問題が起きたとします(起きてませんが)。

私はSNSには挙げず、ショップ若しくは中の人に電話かメッセージを送り、事態を公にする事なく対応してもらうと思います。何故なら、それまでの信用・信頼の蓄積があるからです。

ズルいと言われるかもしれませんが、私も人間です。

  • 返されたバイクのフレームが、グリスまみれでベトベトだった
  • ホイールを預けたら、チューブレスタイヤの空気が抜けてビードが落ちて帰ってきた

これらの一つ一つは、イエローカードですらない、ただのファールかもしれません。ただ、このようなファールが積み重なれば、人間関係に於いてはいきなりレッドカードが飛んできますよねというお話です。

敢えて言うなら「その人を信用できるか」

令和の時代、各ショップやショップスタッフはSNSやHPで様々な情報を発信しています。その気になれば、幾らでもショップアカウントや「中の人」ともやりとりが出来る時代です。

そして、SNSの運用が上手であったりショップの店構えが綺麗だと、それだけでも好印象を持ちます。ただ、そこにどれだけの価値があるのかは、冷静に判断する必要があります。

最初はオンラインでも十分だと思いますが、最終的にはリアルで話をしてみて「中の人」や組織が信用できるか?

非常に漠然としていますが、そういう話に終着するのかなぁと考えています。

PS これは余談ですが、一連の経過において、トレックジャパンの担当者さんには非常に親切かつ的確な対応を頂けたと思っております。

確かに、私の問い合わせに対する回答や社内規定は、私にとって必ずしも都合の良いものではありませんでした(こちらより)。ただ、その結論に至った根拠や説明は、非常に納得感がありました。 あの時、ユーザーにもショップ側に寄り添わずフラットな回答をして頂いたのは、非常にありがたかったです。

「スペシャリッシマに乗り換えた人間がどの口で言うのか」と言われてしまうかもしれませんが、これは明確に記載したいと思います。

まとめ

冒頭に記載したとおり、まとめらしいまとめは有りません。向こう側の人が読むとも思えませんが、ユーザーはこんな事を考えていますという一例でした。

ユーザー側としては…どうしたら良いんでしょうか。正直分かりません。何か妙案があれば、お待ちしております。


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