昨日、私がトレーニングのメニュー作成や考え方を参考にしている南部博昭様より、"ERGモードは個人的には使わない方が良いと思う"とTwitter上に投稿がありました。
文脈から推測するに、Zwiftワークアウト内におけるERGモード※の事でしょう。
※(細かい説明は省略しますが、Zwift内にローラー台の負荷が自動で変わり、ライダーはペダルを漕ぐ事だけに集中すれば良いモードがあります)
全ては追っていませんが、体感で賛否半々くらいなのでょうか?
これはせっかくなので???私もローラー台におけるERGモードの是非について考えてみました。
こういう事を考えるのが、半分趣味なので。
なお、結論から言えば
本投稿に対して、最初は「いや、ERGモード有効だと思うんだけどなー」と言う、やや否定的な印象を持ちました。
ただ、ERGモードの長所短所や自分のトレーニングを整理してみると
「有効なシチュエーションは限定的であり、改めて考えてみたら、自分も殆ど使っていなかった」
という、第一印象とは逆の結論に至りました。
ERGモードを使うデメリットとは
南部氏が考えるERGモードのデメリットのひとつとして、
"実走だと勾配や風向き、他選手との距離感によってケイデンスやパワーを調整しなければなりません。自分で狙ったパワーを出すために細かくギアやトルクを調整する技術は必須です"
と書かれています。
これについて私は、「実走とERGモードで身に付く能力の違い」について言及されているものだと理解しました。
また、これは拡大解釈になるかもしれませんが、よく言われる「実走 vs ローラー」に繋がるものがあると考えました。
そこで、今更にはなりますが「実走とローラー台トレーニングの比較」と、今回の論点である「ローラー台トレーニング内における、ERGモードオン・オフ」という3つに分けて、長所短所をまとめてみました。
これをみると、「実走のメリットとローラー台のデメリットがクロスの関係にある(っていう言い方は正しいのか?)」と言えそうです。
言ってみれば「パワーを鍛えるならローラー台はお手軽かつ確実。だけど、それじゃ自転車走らせるスキル身につかないよね。でも、なんだかんだ言って自転車走らせるならパワーは正義だよね。いやでも…うーん。」っていうやつです。
では、ローラートレーニング内における、ERGオンオフの違いをみると
「ローラー台のトレーニングを、よりローラートレーニングに特化させるモード」だと私は理解しました。
これは、実走とローラー台トレーニングのギャップが今までに散々指摘されている中で、ERGモードの多用はそのギャップを更に大きなものにしてしまうリスクがあると考えます。
もし実走のレースを目標にトレーニングする場合、これは良い傾向とは言えません。
では、ERGモードはどのような場合に使うと良いのか、自分の振り返りも兼ねて考えてみました。
(なお、これは余談になりますが、南部氏はERGのデメリットとしてもう一点、”その日の調子によって出せるパワーは変わります。調子が良ければチャレンジングな内容にした方が良いですし、悪い時は下方修正した方が良いでしょう。”と書かれています。
これについては、手元にスマホを置いておけば、ERGモードを使っていても指定強度を上下させたり、インターバルの回数を減らすことはできます。仕組み上、インターバルの回数を増やすことだけはできません。
したがって、私は、この指摘については当てはまらないのではないか?と思います)
Zwift内で行うトレーニングリストと、ERGオンオフの使い分け
ERGモードを使うメニュー
- gorby (5分のVo2MAXインターバル)
- gorbyβ (上記にHIIT要素を入れた、自分流アレンジメニュー)
ERGを使うか迷うメニュー
- 20分のクリスクロス (使うと、「数分高ケイデンスで耐える」みたいな事ができなくなる)
ERGを使わないメニュー
- ラルプデュエズ走 (実走のヒルクライム感覚で走ります)
- L4 20分走 (変速で頭を使わないと、飽きる)
- L5下限 10分走 (トルクを上下させないと、10分脚が持たない)
- 30:30インターバル (ERGの、負荷の変動ギャップが大きすぎる&タイムラグが気持ち悪い)
- rattlesnake (30:30と同)
- レースイベント (ERGモードがそもそも使えない)
このように振り返ってみると、私がERGモードを使う場面は
「Vo2Max系の、強度以外何も考えたくないキツいメニューをする時」だけだと言う事がわかりました。
そして、それらのトレーニングは「レースの6週間前からVO2MAXの強化をしたい時」しかやらないので、
必然的に「ERGモードは滅多に使わない」というやり方に落ち着きました
個人的な経験をいえば、ERGモードを使用するのは、ローラー台トレーニングの15%程度です。
実走とローラー台の比率が3:7程度と考えれば、トレーニング全体におけるERGモードの割合は、更に低くなります。
ただ、これはあくまで今回の投稿に対して自分なりに練習の意味を整理した結果であり、前からこのような考えに基づいて使い分けていた訳ではありません。
あくまで「後から考えてみたらこうだった」という話です。
まとめ
上記のとおり、私としては「ERGモードは、有効なシチュエーションは限定的であり、よく考えてみたら、自分も殆ど使っていなかった」と結論づけました。
ただ、逆に「ERGモードは、特定のワークアウトで使えば有効」とも言えると思います。
それぞれの練習方法にメリットデメリットが必ずあるはずなので、いいとこ取りをしていきながら、より質の高い練習を続ける事が大切だと思いました。
最後に、このような気づきを与えてくれる投稿を頂き、ありがとうございました。