考え方

その最新スペックは誰のものか?〜ロードバイクとApple製品から考察してみた話〜


先日、とあるWeb記事で「アレ(とある自転車)の旧型は本当に良かったですね。新型は、その良さが薄れました。ただ、今更旧モデル買うのもなぁ(要旨)」という文章を見掛けました。

その記事を読む更に 1ヶ月ほど前、「最新モデルを買ったけど、これなら旧型でも良かったかもな」という経験をした筆者としては、「自分の好みが旧型なら、そこはシンプルにその旧型買った方が良くないか?」という感想を持ちました。業界関係者として、最新を所有しておきたいという心情や意味も分かりますし、その選択を批判するつもりは毛頭ありませんが。

近年は、自転車に限らず様々な製品のクオリティが上がっており、その製品のすべての機能・性能を使い切れていない事も多いように感じます。

この、最新スペックとユーザーのギャップについて、筆者の経験や考えを纏めてみようと思いました。

なお、最初に予防線を張っておきますが、本記事はハイエンドモデルや最新型を購入した人をどうこう言う意図はありません。逆に、トップモデルや最新モデルを買えない「自分」や、この記事を読む人を慰める意図もありません。純粋に「自分はこの製品を欲しているのか?」をより考えるようになりました、という話です。

筆者が買った「最新モデル」Apple Watch 11

2025年末、Apple Watchの最新モデルであるシリーズ11を購入しました。なお、いままで使っていたのは2020年9月発売のシリーズ6。実に5世代のステップアップでした。

もともとスマートウォッチの中ではバッテリー保ちの悪いApple Watch。それを5年以上使ったので、寝る前に満タンにしても昼間に追い充電をしないと、帰宅時間帯に力尽きるようになっていました。ただ、この記事で比較した通り、バッテリー保ち以外は6に不満点がなかったため結果的にここまで粘る?事になりました。

満を持して、5年ぶりの機材更新。ところが、最新のseries11に替えても、バッテリー保ち以外に何か良くなった実感は正直ないのです。

確かに、画面の明るさ(最大ニト)が向上したので、6と比較すれば視認性が良くなったような気はします。アラームを、ボタンや画面を押さずフリック(手首を外側に素早く回す動作)で止められるのも、結構便利です。ただ、「生活のレベルが上がった」「今までに無い、革新的な事が出来るようになった」という経験は、今のところ得られていません。6でも最新OSをインストール出来ていたので、ソフト面での変化が無いのもあるかもしれません。

不満というほどではないのですが、5年振りに買う7万円弱の製品にはもう少し「何か」が欲しいなというのが、正直な感想でした。これなら、値下がりした旧モデル(シリーズ10)や、廉価版のSE3でも良かったかな?と。(なお補足すると、シリーズ11はシリーズ5以降現状維持だったバッテリー保ちが初めてテコ入れされた事や、OSアップデートのサポート期間が一番長いことを鑑みて2030年頃まで使う前提で買ったので、一応納得はしています)

よほど過渡期の製品でなければ、なにか大きな革新(スマホやPC関連でいえば、AIでしょう)が無い限り、一般ユースに於いては必ずしも最新モデルが最良の選択肢とはいえない場面が増えてきたようにも感じた瞬間でした。

よく考えて買って良かったiPhone13 mini

また筆者のAonle トークになり申し訳ありませんが、筆者は4年前の iPhone13mini(赤)という端末を未だに使っています。ホームポタンがあった頃のiPhone と端末のサイズはほぼ同じで、画面だけが全画面になったというモデルです。残念ながら不人気だったようで(世の需要は、当時からより大画面端末だったようです)、2年でディスコンとなってしまいました。

さかのぼる事9年前、iPhoneXでホームボタンが廃止され全画面になり、同時に端末サイズが僅かに大きくなりました。全画面は使ってみたかったものの、端末が大きくなる事で片手操作がしにくそうだったので、一旦見送り。

その3年後、iPhone12 シリーズから「ホームボタンモデルと同じサイズ感で全画面」というminiシリーズが追加でラインナップされました。小型サイズの全画面iPhoneを待ち望んでいた筆者は、発売日に黒を購入。本当は赤を選びたかったのですが、12シリーズのREDは赤というより朱色のような色合いで好みではなく、黒を選びました。

翌年、13シリーズで筆者好みの赤が発売、ただ、1年で買い替えは流石に贅沢すぎると判断し、14シリーズを待つ事に。ただ、情報を追っていくと、14シリーズははそもそもminiが終売の噂。それなら仕方ないと、やむなく?13miniのRedを購入。結果的にはそれ以降買い替えたい端末が出てこず、今に至るという状況です。実際、13シリーズを最後にminiは発売されていません。中古端末を探せば後からでも入手できたとは思いますが、「自分の欲しいサイズ・色」をキチンとオンタイムで購入できたのは、我ながら良い判断をしたなと思っています。

4年半前の端末なのでそろそろ買い替えも検討しているのですが、最新のiPhoneは13万円くらいします(これは日本の経済成長ではなく円安のせいです)。カメラ性能が向上しているのでApple Watchよりは進化を実感出来るとは思うのですが、端末の大型化に伴う操作性の悪化も目に見えています。

わざわざ「100%満足には絶対ならないと分かり切っているモノに13万円はなぁ」というのが、未だに買い替えていない理由です。100%満足というのは無理でも、13万円も払うなら、今までできなかった何か新しい機能が欲しいところです。逆に、(各種方面の情報を漁る限りまず無さそうですが)iPhone18mini(赤)が発売されれば、15万円でも発売日に購入すると思います。

最新のロードバイクは誰の物か

昨今のロードバイク界限も、Apple Watchと似たような事象が起きている気がします。

最新・トップモデルの性能絶対値はものすごく高い。最新のロードバイクは、45km/hで1時間走行した際に前モデル比で7wの削減効果があるとします(仮定)。このスペックアップは、日々の研究開発の賜物なのだと思います。

では、一般人の私たちが使ってその性能が生きる場面って、一体どれくらいあるんでしょうか。45km/hで走行できるのは、何分(何秒?)でしょうか?

最新のロードバイクは「プロの選手」を「レースで勝たせる」事を目的に開発されています。「アマチュア」が「週末にサイクリングを楽しむ」為に開発されているわけではありません。

一般ユーザーでは持て余す性能と高価格化、近年はとくにこれらが段々無視できなくなっている気がします。

もちろん、競技機材の技術的な進歩を楽しむという意味においては、最新のロードバイクも非常に興味深く注目しています。個人的に、ファクター・ワンのショートクランクを前提とした設計は、またロードバイクが一段階進化したなと興味深く見ています。ただ、その興味は「今はこんなアプローチでモノをつくるのか」という意味での興味であり「次もし自分が買うならどれが良いかな」とは全く別の視点です。

自分で使ってみたい最新機材という観点でいえば、ラテックスチューブの走行抵抗と乗り味をTPUチューブで実現したピレリのSmarTUBE RSは、ぜひ使ってみたい機材です。ラテックス信者の筆者としては値段の高さがネックですが、

  • ラテックスチューブ並みの走行抵抗の低さと快適な乗り味
  • 最軽量と言っても語弊がないほどの軽量性
  • チューブレス(シーラント)特有の運用の煩わしさが一切ない

これらを考慮すれば、既存のラテックスチューブを全部置き去りにして「最強のチューブ」の座を射止めるポテンシャルを持っているように思います。もうすこし自転車に乗る時間が確保できるようになったら、真っ先に試してみたい機材です。

まとめ

「自分は何を必要としているのかを、ネットやSNS・メディアの情報に流されずに突き詰める必要がある」これに尽きると思います。

SNSやメディアの情報を入り口にするのは、決して悪い事では無いと思います。ただ、それらの情報を鵜呑みにし判断基準にするのは、ややリスクがあるように思います。発信している人がどのような意図でその情報を発信しているかは、分かりません。

新製品を、複数のインフルエンサーが紹介することがあります。そうするとその製品がよく見えるかもしれませんが、そこから分かるのは「メーカーが、新製品を複数のインフルエンサーに提供した」という事だけです。SNSでよく見かけるその製品が自分に合っているのか・自分にとって良い製品かは、全く別の話です。

ネットやSNSでよく目にするから何となく良さそうだな。ではなく、自分はどのような製品(性能・新しさ・価格)が欲しいのかをよく整理して判断することが、これからますます重要になっていく気がします。


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