Bianchi Specialissima 機材

ビアンキ スペシャリッシマ Bianchi Specialissima インプレッション


ビアンキのスペシャリッシマ ディスクが納車されて、3回・計10時間ほど実走しました。

「平坦巡行・長い登り・短い登り・峠のダウンヒル・横風」想定されるシチュエーションを一通り体験できたので、インプレを書きたいと思います。

インプレに際してまずお断りすると、昨年まで使用していた「Trek Emonda SLR(リムブレーキ版)と比較してどう感じたか?」という視点から記載しています。スペシャリッシマの絶対評価ではなく、エモンダとの相対評価です。

その理由は2点。

  1. 私に自転車を「絶対評価」するスキルが無いから。
  2. 「この価格帯の、(供給とは言え)ワールドツアーレースの現場で使われていたフレームが、絶対評価でダメな訳がないから」

です。

絶対評価で良いか悪いかなんて、書くまでも無く良いに決まっています。実際、凄く良いです。

ビアンキ スペシャリッシマ インプレ比較対象

 「フレーム+ホイール+タイヤ+コンポ」が

この比較です。

初めて購入するディスク車のため、ホイールやコンポを統一出来ない点は、ご了承ください。

ライダースペック

ヒルクライムレースをメインに参加しています。ロードレースやクリテリウム・エンデューロは出ません。ブルベは、200kmを年に数回ほど。いずれはもっと長い距離にもチャレンジしてみたいです。

2022年3月時点のスペックは174cn/61kg、FTPのPWRが凡そ4.5w/kgです。ピーク時は4.9くらいありましたが、色々あって落ちてしまいました。

このインプレは、フレームサイズは自分に合うサイズ(53)で乗っています(おこづかいで購入しているので当たり前ですが)。

ポジションも、Retulで出したemondaのポジションと同じにして貰っていますので、その意味でキチンと「パッケージ同士の比較」はできると思います。

ビアンキ スペシャリッシマ インプレ項目

  • 平坦巡行
  • ヒルクライム
  • ダウンヒル・ブレーキング
  • 乗り味
  • 汎用性・整備性
  • コスパ
  • スペシャリッシマに決めた理由
  • まとめ

としました。

なお、先に結論から申し上げると

  • 重量増で懸念したほどは、登坂性能は悪化しなかった
  • 乗り味は、凄く好みだった
  • 想定される競合他車と比較したとき、突出した特徴・インパクトに欠ける

と感じました。

この投稿が、スペシャリッシマを購入検討している方の参考になれば幸いです。

ビアンキ スペシャリッシマ 走行性能

 平坦順行性能

平坦の巡行能力については、エモンダと優劣の判断はつきませんでした。

敢えて言うなら、緩い直線基調の下りで40km/hを超えた辺りから、スペシャリッシマの方がスピードの伸びが良いように感じました。

フレーム形状やワイヤー内装という仕様を考慮すれば、理論上スペシャリッシマの方が優れていると思います。

ただ、単独走では、エモンダ比で明らかな優位性は感じ取ることが出来ませんでした。集団走行をすれば、印象が変わるかもしれません。

 

個人的に特筆したいのが、横風に対する直進安定性です。これは、スペシャリッシマの方が良いと思いました。

過去の経験上、エモンダで風速4mを超える予報の日に実走すると、ふとした瞬間に前輪を持って行かれます。前輪をリムハイトの低いZondaに変更しても、なお細心の注意が必要となります。

これに対して、スペシャリッシマは風速の割に前輪を取られる回数が少ないように感じました。

シェイクダウン当日は5~7m程の強い西風。関西デビューの日も4m程度の風が吹いていましたが、ドキッとする回数が少なかった印象です。加えて、前輪が風に煽られた後、進行方向へ戻るのが早い感覚がありました。

普通であれば、外乗りを躊躇するレベルの爆風でした

ディスク車は、ローターがある分風に弱いと考えていたので、これは予想外でした。ブルベetcで長距離走る場合、この安定感はメリットになると思います。

平坦巡行 まとめ

  • 単に、総重量増で安定感が増しただけか?直進安定性が高いのか?どちらかは分からないが、エモンダ比で直進安定性は向上。
  • 平坦の巡行スピード向上は、個人的には体感出来なかった。

ヒルクライム性能

これは、流石に1.2kg軽いエモンダに有意性があります。

…と書くつもりだったのですが、勾配次第ではスペシャリッシマでも遜色ないと思います。走っていて軽さは感じないし、速く走っている感覚はありませんが、一方でタイムはさほど悪くないという、不思議な現象が起こっています。

乗り手のパワーがピーク時(4.9w/kg前後)と比較して落ちているので、エモンダとの単純な比較をする事が出来ないのが残念ですが…シェイクダウン当日のヤビツ峠(旧ヤマザキスタート)タイムが、32分弱でした。(strava上は31:58)

慣れないアルテグラDi2の変速ボタンに右往左往しながら登りましたので、それが無ければ30秒は削れるかと。Etapと比較して変速は圧倒的に速いのですが、ボタンが押しにくいです。

その他、兵庫県宝塚市の十万辻で16:10。ここ数年最も数多く走っている六甲山逆瀬川ルートでは、手元のラップで42分フラットでした(信号停止2回)。

肌感覚として、アウターに入れる区間が半分以上あれば、スペシャリッシマでも可。勝尾寺のようなコースも、エモンダと遜色ないタイムで走れるような気がします。

勾配ベースで言うと、今の脚力では5%がスペシャリッシマとエモンダの分かれ目でしょうか。パワーがもっとつけば、もう少しキツい勾配でもスペシャリッシマを使いたくなるかもしれません。

今までに私が走ったことのある、主なヒルクライムレースのコースに当てはめると

こんな感じでしょうか。

ヒルクライム まとめ

  • エモンダ比1.2kgの重量増の割には、よく走ると思う。
  • ただ、精神衛生上あと300gくらいは軽くしたい&平気勾配が7%を超えるコースであれば、エモンダを使いたくなる気がする。逆に、勾配が緩い場合は、スペシャリッシマもアリかもしれない。

制動力・峠山頂からのコーナリング含むダウンヒル性能

これは、スペシャリッシマ(というよりディスク車)が優れていると感じました。

峠からのダウンヒルで、カーボンリムの発熱や消耗を気にせずブレーキを掛け続けることが出来るのは、大きなメリットだと思います。

また、雨天で制動力が落ちないのもメリットです。先日思いがけず、気温1ケタで雨に降られてしまいましたが、晴天時と制動力にはほぼ変化を感じませんでした。雨天時は、制動距離が伸びることよりも、タイヤロックやスリップに気をつけた方が良いように思いました。

ただ、これらブレーキングに関しては、全てスペシャリッシマというよりディスク車のメリットです。

コーナリング・ダウンヒルに於いてエモンダとの比較を挙げるとすれば、スペシャリッシマのハンドリングの方が、よりクイックさを感じました。

コーナリング・ダウンヒル まとめ

  • 性能の優劣という観点では、どちらも必要十分な性能を有していると思います。

乗り味

「何からスペシャリッシマに乗り換えるか」に大きく依存する項目だと思いますが、「最初のインパクト」は薄い方だと思います。試乗の際も納車された際も「こんなもんかぁ」というのが第一印象でした。乗った瞬間の「これ凄い!」という感覚は、正直あまりありませんでした。

 

そして、乗る前に想像していたよりは、固くてしっかりしている印象を受けました。

ネット上の記事で「CV(カウンターヴェイル)のお陰で~」という文言を頻繁に目にするので、乗り心地が最高に良く・柔らかくて脚当たりの良い物を想像していました。

ただ、実際に乗ってみると、乗り心地や脚当たりはエモンダの方がマイルドだと感じました。

スペシャリッシマ(×mavic cosmin slr)は、エモンダ(×roval clx50)のような「白線や新品の路面を走っている感」は無く、その替わり踏み込んだ時の硬さや「しっかり感(剛性)」を感じました。スペシャリッシマは私が想像していたより遙かに「ロードレーサー」で「レーシングバイク」でした。

 

最も違いを顕著に感じたのは、登坂中にダンシングで出力を上げる瞬間です。

腰を上げてギアを掛けて登った際、スペシャリッシマは、エモンダでは感じた事がない反応の良さがありました。特に、前荷重でダンシングをすると、エモンダより直ぐにスピードが乗る感覚があります。

スペシャリッシマに乗るまで分からなかったのですが、エモンダはシッティングで淡々と登り、スペシャリッシマは勾配が上がった区間をダンシングで捌く人に向きそうな印象を受けました。

パワーの絶対値が高い人・インターバルに強い人は、スペシャリッシマの方が好きかもしれません。ただ、掛かりが良い分、スペシャリッシマの方が脚への負担は大きいと思います。

逆に、シッティングダンシング問わず、一定ペースを守る走り方の人は、エモンダの方が合うかと。

乗り味 まとめ

  • 私が好みなのは、スペシャリッシマです。
  • 乗り心地や乗り味は、エモンダより硬め。脚当たりも固いと感じました。個人的には、エモンダの乗り心地や脚当たりの優しさが抜群に良く、スペシャリッシマはそれより劣るが十分に及第点という印象です。

じゃあエモンダの方が優れているの?と言われると、そうとも言い難く。

両車の差は極僅かです。どちらにも、素晴らしい魅力があると思います。

汎用性・整備性

ハンドルとステムのACR縛りが非常にネックです。表向き「ACR規格のハンドル・ステム以外は使用不可」です。

そして、2022年3月現在、ハンドルこそ多少選べますが、ステムは、コロナの影響なのかメーカー在庫が全くありません。つまり、現実的には「FS・完成車に附属するハンドルとステムで乗る」しかありません。

これは、かなりムリがあるかと。完成車のハンドル・ステムそのままで自身の正確なポジションを出せる人が、どれだけ居るでしょうか?いくら購入前にフィッテングを受けてポジションを出しても、自転車をそのポジションに設定できなければ何の意味もありません。

ここからは、スペシャリッシマを組んでくれた人から聞いた話となります。曰く、ACRの完全内装規格は整備性においても非常に難があるようです。

そして、ハンドル経由で完全内装してしまうと、整備性が落ちる上にステムの形状が歪になり、重量も増えます(参考までに、100mmのステムがカタログ値で235g)

異常にデカく重いステム…

TREKやキャノンデールは、ケーブルをハンドルとステム下側に「沿わせて」います。この方式だと、ACR規格と同様前からは見ケーブルがえませんが、下からのぞき込むと見えます。これだけで、かなり整備性が良くなる(らしい)です。

これらACRの規格が「どうしてもイヤ」という事であれば、ACR対応では無いハンドル・ステムを取り付けてくれるお店を、ご自身で探すしかありません。「中の人」から「おおっぴらに書かないで」と言われたので自主規制としますが、そういう事らしいです。

 

シートピラーは、27.2φの汎用丸形です。私は、オフセットのあるピラーを使うとポジションが出にくいので (理由はお察し)、ピラーに縛りが無いのは大きなメリットといえます。

整備性・汎用性まとめ

そういうことらしいので、詳細は割愛します。専用設計でガチガチに固められたバイクよりは、ポジションの自由度は高く汎用性に優れていると思います。

整備に関しては、ハンドルとブレーキ周りはお店に任せようと思っています。

コストパフォーマンス

悪いと思います。

ピナレロのように、フレームのサイズ展開が豊富だからコスパ悪化は仕方ないよね、という訳でもありません。

強いていうと(これが大きいと想像しますが)、スペシャリッシマは普及価格帯のフレームがありません。乗りたければ、ハイエンドモデルを買うしかありません。一方、エモンダetcその他バイクは、「ハイエンドモデルと同じ形状でカーボンの材質が異なる」ミドルレンジのラインナップがあります。

つまり、スペシャリッシマはライバル車のように販売数の多いモデルに同じ金型を使いまわせない分、設計費用や金型の投資費用を全て「ハイエンドモデルの売り上げだけ」で回収する必要があります。

ハイエンドしかラインナップされていなければ、生産数も自ずと減ります。ミドルレンジがあれば、もう少しお求めやすい金額で販売されたかもしれませんが、如何せん車名が「Specialissima」「特別の中の特別」です。名前が名前だけに、ミドルレンジをラインナップできないのかもしれません。

 

各社の、エアロ・オールラウンド系バイクから選ぶ場合、Canyon AeroadやブリヂストンのRP9であれば、Specialissima アルテグラ12s完成車の価格でデュラエース搭載車を購入出来ます。上記2車種は、特段コストパフォーマンスが良すぎるだけかもしれませんが。エアロードは、空力性能も良いですね。

私のようにヒルクライム用マシンが欲しい場合、同価格帯のSpecialized Aethosには、重量面で全く太刀打ち出来ません。TrekのEmondaであれば、2022.3.14以降の値上がり後価格でも、なお5万円以上安く仕上がります。差額を使って、Project Oneでカラーオーダーが出来ます。

 

では、同価格帯のライバル車種に対して、「上記以外に何か別のストロングポイント・有意性があるか?」というと、正直回答が難しく。

「カウンターヴェイル(以下CV)のお陰で乗り心地がー」と言われるかもしれませんが、私はCV無しのスペシャリッシマに乗ったことがありません (なお、そのような製品はありません) 。依って、「CV」にどれだけのコストがかかり、それによってどの程度乗り心地や振動吸収性が改善されているかを判断する術がありません。

もっと言うと、単に乗り心地や振動吸収性で言えば、個人的にはエモンダの方が良いように感じました。

 

従って、もし自転車を買い替える目的が「今より速く走る機材が欲しい」場合、「平坦・ヒルクライムetc、いずれの場面においても最適解にはならない可能性がある」。これは、頭の片隅に置いておく必要があると思います。

コスパ まとめ

  • オールラウンドバイクとして、ライバル車種に対して明確な強みがあるかというと、正直疑問。
  • 私のように、ヒルクライムに於いてリムブレーキのハイエンドから乗り換えるメリットは、少ないと思う。

カタログスペックに現せない「何か」に魅力を感じなければ、ライバル車種を購入する人が多いと思います。実際私も、Aethos・emondaと相当に悩みました。

では、どうしてビアンキ スペシャリッシマを買ったのか?

結論から言うと、フレーム重量について、1発のレース機材として見ればデメリットでしかありませんが、何年も乗る「パートナー」と思えば、メリットにもなり得るかと考えたからです。そして、今までずっと米国系メーカーのフレームに乗ってきたので、イタリア系メーカーの自転車に乗りたかったからです。

 

個人的には、それらが上記デメリットを上回りました。

 

エモンダを修理へ出した際、某工房にて色々お話を聞かせて頂きました。その中の一つに、「特に米国系メーカーで顕著に感じるが、近年のフレームは軽すぎる・薄すぎる感がある」という内容でした。

店主氏曰く「近年のフレームは、速さや数字上のスペックを追求するあまり、耐久性が犠牲になっている感がある」と。

実際に、「たったそれだけの事で?」という理由で破損し、修理に持ち込まれるフレームも少なくないようです。勿論、それまでに蓄積があり、最後のトドメが「それで?」という理由だっただけかもしれませんが。

確かに、米国系メーカーのフレームは非常に軽量なものが多いのに対して、イタリア系のそれは、平均的な重量の製品が多い印象です。これは、イタリア系の技術が低いという事ではなく、設計思想の違いから来るものだと考えられます。これは、どちらが良い・悪いという次元の話ではありません。

私自身、相応の金額を投じる以上「分かり易いリターン」を欲しくなります。Emondaは、そのような「謳い文句」にも魅力を感じ購入した経緯があります。実際、凄く良かったです。

ただ、Emondaがあのような構造のもとあのような経緯で破損したため、今回は自分の判断として「究極の軽量フレーム」を敢えて積極的に避けました。

また、今まで米国系メーカーの自転車ばかり乗っていたので、イタリア系メーカーの自転車に乗ってみたかったというのも、決め手の一つでした。

スペシャリッシマまとめ 最高に普通な、ロマン枠

やや?ネガティブな事も書きましたが、総合的にはとても満足しています。

突き抜けた特徴はありませんが、極めて高い水準でバランスが良いと思います。これなら、飽きずに長く乗れそうだと感じました。

今回「長く乗る」事を考えて車種を選びましたので、とても満足しています。

 

冒頭にも記載しましたが、2022年にこの価格帯で、性能的に「ダメな自転車」を探すのは難しいと思います。

身も蓋もない事をいえば、この価格帯の自転車であればどのメーカーを選んだとしても、合う合わないを除いた純粋な性能面では、一定の満足度を得られる事でしょう。それを踏まえ、カタログスペック上「もっと軽量」「もっと空力が良い」「もっと〇〇」といった車種がいくつも存在する中、敢えて「いずれにおいても最適解ではない」この車種を選ぶのは、かなり難しい判断でした。

 

ただ、カタログスペックや、科学的・理論上の最適解ではなくても、所有者が気に入っていて・且つ感覚が合っているであれば、その車体はその人にとっての最高になり得るのでは?と思います。その意味で、スペシャリッシマは私にとっての最高になり得るポテンシャルがあると判断し、選びました。

もっと乗り込んで自転車の能力を最大限引き出せるよう、頑張りたいと思います。

 


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