ここ最近、SNSやネット記事では頻繁にグラベルロードに関する投稿・記事を目にするようになりました。気になる点もありますが、なんとなく楽しそうな事は伝わってきます。
ランニングを始めたりetcで通勤以外は殆ど自転車に乗れていませんが、気候もよくなり自転車を再開したい気持ちはあります。
そこで今回、自転車再開に向けて「グラベルロードはどうなの?」と調べてみました。
なお、「グラベルロードを始めたい」という文言、ニュアンスは伝わっていると思いますが日本語としては正しくありません。正確に書くと「グラベルロードを購入して、未舗装路も含めてサイクリングをしてみたい」です。まどろっこしいので、以降も「グラベルロードを始めたい」と書きますが。
そして、いつもの通り最初に結論を。
個人的な印象ではありますが、グラベルロードはエンゲル係数ならぬ「自転車係数」を要求されそうな趣味だなと感じました。
グラベルロードは、ヒルクライムのように「ガチ」で頑張らなくても楽しめそうです。ただ、頑張らなくて良いのはあくまで「トレーニング」。時間と金の捻出力は、ヒルクライムよりも「ガチ度」が求められそうだなと。
やってみたい理由
やってみたいに理由も何もありませんが、敢えて言語化するならば「難しい事を考えず、単にサイクリングを楽しみたい」です。
筆者がグラベルロードに求めるモノは、これです。
もう少し、具体的に深掘りします。
未舗装路を走るのは面白そう
「難しい事を考えず自転車に乗る」
これは舗装路だけでも出来ますが、未舗装路も含めたらもっと面白いのではないか?という、至極単純な理由です。小学生くらいの頃、いわゆる「ルックMTB」で公園の裏道とかを走った、ああいう感じ。
今まで筆者は、ヒルクライムレースと不定期にブルベを楽しんでいました。ただ、ヒルクライムTTでタイムを出したい・ヒルクライムレースで上位を目指したい場合、トレーニングを継続していなければ楽しむ事は出来ません。
話が横道に逸れますが、昨年夏に第2子が産まれて以降、1時間程度の連続した自分時間を確保出来るのは、2人が同時に寝ている時だけになりました。
現実的に、夜の寝かしつけが終わって以降~起床するまでに限られます。この間も、どちらかが夜泣きすれば直ぐに対応しなければなりません。
最初は、この「寝ている間」に「某インドアサイクリングアプリZ(名称自粛)、以下Z」をやっていました。ただ、ご承知のとおりZの最中は汗まみれです。よって、Zの最中子どもが夜泣きした場合、幾らZを直ぐ止めたところで添い寝も抱っこも出来ません。夜泣き対応する妻を汗まみれで眺めるだけのオッサン…地獄です。
妻曰く「戦力にならないなら物理的に居ない方がマシ」らしく(気持ちは分かる)、昨年秋以降は家庭内平和を優先してZは一旦休止。ランニングにシフトしていました。早朝のランニングは、たまにチクチク言われる程度で済みました。
話を戻します。そこでグラベルロードです。昨年秋以降、通勤以外では殆ど自転車には乗れていませんが、自転車が嫌いになったわけではありません。
ネット上のグラベルサイクリングに関する記事や投稿を見る限り、ヒルクライムのようにZを頑張ったりしなくとも、サイクリングを楽しめそうに見えました。
サイクリングルートに広がりが出来そう
筆者は、主に大阪府北部(及び京都府南部・兵庫県南東部)で自転車に乗っています。このエリア、クルマが通る主要道を逸れると、ロードバイクでは若干躊躇するようなガレた山道が複数あります。頑張れば走れるけど、パンクとフレームへのダメージ考えるとあまり走りたくないな、という感じ。
そのような山奥の道も、グラベルロードならゴリゴリ走って行けそうだなーと思いました。結果的に、ロードなら迂回していた山道を突破して、新たなルートを開拓出来そうな気がしています。
最新・高級機材でなくても楽しめそう
ヒルクライムの場合、基本的にはライダーのパワーが重要です。その上で、機材選択も結果に少なからず影響します。こちらの実験結果にも有るとおり、やはり軽量な(高価な)ホイールは正義。
一方のグラベルロード。個人的にはグラベルロードはタイムを競う訳では無く、単にサイクリングが出来れば良いです。安全性さえ確保されていれば、少々の重量やらは気にしません。いや「その予定です」。
結果的に、必ずしも最新でグレードの高い機材でなくとも、現時点では目的を達成出来そうに見えます。
グラベルロード 始める上での懸念
一言でまとめると「グラベルロードの全体感をイメージ出来ない」です。「グラベルロードを買う事で、どんな事がどのように・どれくらい出来るのか」が掴めません。
いわゆる「インフルエンサー」な皆様の投稿を見ると、未舗装路を走るが楽しそうなのは掴めます。ただ、それがグラベルロード趣味のどれくらいのボリュームで、どれくらいのコスト(時間・費用)が必要なのかが、イマイチ見えてこないのです。
もう少し深掘りしていきます。
走る場所が、どこにどれくらいあるのか分からない
都市部在住者としてまず気になるのは、この部分です。
SNSやネット記事etcで、グラベルロードをイベントではなく日常的に楽しまれている投稿を目にするようになりました。ただ、それらの投稿を見ても、「未舗装路のサイクリングを楽しまれている」事しか分かりません。
筆者の場合、自宅近くの河川敷に写真のような未舗装の平坦路が有って、草地の部分は走れそうだと分かります。ただ、河川敷だけを走っていても直ぐ飽きるのは目に見えています。また、「この道、物理的には自転車で走って行けそうだけど、ルールやモラル的には大丈夫なのかな?」という道もあります。昨今、ちょっとしたマナー違反でも直ぐに鬼の首を取ったかのようにネットで晒されます。
- 自宅からグラベル迄のアクセス(距離・所要時間)は、どれくらい掛かるの?
- グラベルは、どれくらいの箇所・距離・時間楽しめるの?
- 自宅発着と仮定して、道中の未舗装路と舗装路の比率は?
この辺りが、個人的にはイメージ出来ていません。これが例えばスノボであれば
- ここで出来ます
- 利用料金は幾らです
- コースは、初心者向け~上級者向けまで計5本です
と情報があります。遊び方だけでなく必要な時間や金額まで、自分がスノボを始める上での全体感がイメージできます。
逆に、もしこれらの情報が無いまま「雪の上を滑るの楽しいですよ」と著名人がいくら発信した所で、それだけでは「じゃあ俺もスノボやってみるか!」とはならないでしょう。
結論。
様々な事情から未舗装路の情報をオープンにしがたい事は理解しているつもりです。ただ、これではグラベルロード購入のハードルは高いなと言う印象です。
逆に、周辺のグラベル事情に精通しているショップにとっては、その知見や情報はショップの強みになる様な気がしました。
時間的余裕がある人向けの遊びなのでは?
グラベルロードを購入したところで、月に何回乗れるのか?と言う点は、気になります。これは、Zが出来ない今は勿論ですが、もう少し時間的余裕が出来てからもネックになりそうだなと。
「走る場所」と内容は若干重複しますが、本格的にグラベルロードを楽しめるのは、河川敷を除けば人里離れた郊外が中心になろうと想像します。であれば、都市部に住む人はそこまでのアクセス手段と時間が必要です。
舗装路を走るロードバイクでも、交通量と信号の少ない郊外に出るためには都市部を通過せねばなりません。いま筆者は環境的に非常に恵まれており、30分程度走れば「郊外の麓」に辿り着きます。
ただ、逆に言えば、往復で少なくとも計1時間以上は「舗装路」を走る必要があります。そして、辿り着いた「郊外の麓」を起点に30分程度遊べるグラベルがどれだけあるのか。
10分×3ルートを繋げるetcの分割でも良いので、何となくそれくらいは無いと正直割に合わないなと思います。
と言うのも、「1台自転車を買い足して、10分程度のグラベルを走るために1時間以上舗装路を走る」なら、「その10分の未舗装路は諦めて、今まで通りロードバイクで舗装路だけを走れば良くない?」となりかねません。
そして、ここまでは自宅からグラベルに30分程度の自走でアクセスが様な人の場合。もし、遊べるグラベルが自宅近所に無ければ、現実的には輪行orクルマでの移動が必要です。
- 往復の移動
- 拠点からグラベル地点までのアクセス
- 実際にグラベルで遊ぶ時間
これらを考慮すると、よほど環境が揃わない限り1日仕事です。
今後、子どもの手が多少掛からなくだろうとは言え
- 子どものイベント(誕生日・発表会etc)が無く、子どもの体調が良い
- 天気が良い
- 丸1日自由に遊べる
「こんな休日は今後月に何回あるか?」と考えると、購入には二の足を踏んでしまいます。仮に購入しても、Z専用機と化して「一番走っているのは部屋の中」と笑えない事態になり兼ねません。まあ、用途があるだけマシですが。
クルマが必要な趣味ではないのか?
2の内容とも若干重複しますが、走りたいグラベルの近くに鉄道の駅が有るとは限りません。であれば「クルマを持っている」事も、グラベルロードを始める上での必要条件になる可能性があります。
昨今、都市部在住者はクルマを持たない人も増えています。クルマが無い人や家族とクルマを共用している人にとっては、これもネックになり得るかと。
ただ、筆者の場合は自宅にクルマがあり、妻は運転しません。従って、クルマの有無は「想定される懸念事項」として列挙こそしますが、個人的には問題ありません。
保管場所の問題
我が家は、ここの理解を得るのが少々(いや相当)厳しくなりそうです。実際、部屋も狭くなりますし。現状、筆者の自宅には3台の自転車があります。
- リムブレーキのエモンダ
- ディスクブレーキのスペシャリッシマ
- 通勤用のCAAD9
です。家族からの強い圧が掛かり、昨年初代システムシックスを手放して上記3台に減らしました。その様な経緯があり、この期に及んでの増車は厳しそうです。
どれかと入れ替えるなら…通勤用に軽快車を買い足してそれは駐輪場に止めて、CAAD9を手放して…でしょうか。若しくは、CAAD9と入れ替えてグラベルロードで通勤もしてしまうという手もあるかもしれません。
なお、部屋に自転車3台を保管している時点で、一般的には恵まれている筈です。そこを勘違いしてはいけません。
パンクすると後の予定がある時に困る
グラベルロードを楽しまれている投稿をみると、結構頻繁にパンクをされているイメージがあります。筆者の場合、外でサイクリング出来る日であっても、門限(=次の予定)がある事の方が多いです。
ロードバイクであれば、年に1回もパンクしません。よって、それが門限のある日に当たっても、年に1回程度であれば雷が落ちる程度で済むかもしれません。ただ、それが頻回になれば自転車そのものを禁止されかねません。
「グラベルロードとロードバイクでパンクの頻度が違うから、こっち(ロード)に乗っている日は時間通りに帰って来ます」と説明したところで納得して貰える訳は無いし、「ならもうそっち(グラベル)は乗るな」と言われても困ります。
まとめ ロードバイク以上に「自転車係数」を要求される気がする
冒頭にも記載しましたが、これが個人的な感想です。
グラベルロード、ヒルクライムほど肩肘張らず自転車を楽しめるのでは?と思い調べてみました。これ自体は、確かにその通りのようです。機材も、現在各社からラインナップされている20万円前後のモデルでも、個人的には十分楽しめそうです。
一方、「グラベルロードは、自転車に使える時間と予算が潤沢な人向け」という印象も受けました。自宅発・数時間で完結するロードバイクに比べると、1回のサイクリングに必要な時間は増えそうだなと。
幾ら近所の河川敷でも遊べるとは言え、「近所は飽きたから、別の場所も走ってみたい」と早々になりそうな気がします。そうなれば、休日を1日自由に使える人しか出来ません。
また、グラベルロードは、よくSUV車に例えられます。そして「SUV車で舗装路しか走らない人なんて大勢いるんだから、舗装路でもグラベルロードを楽しめば良い」と。
これ、スポーツバイク1台目の人に向けては凄く良い説明だと思います。ただ、筆者のように舗装路に特化したバイクを持っている人からすれば、余りピンと来ないのが正直なところです。
私は2台しか所有出来ないという制約もあり、
- リムエモンダとディスクスペシャリッシマ (現状)
- 上記どちらかを処分して、グラベルロード(現実解)
- リムエモンダとディスクスペシャリッシマ+グラベルロード (夢)
夢プランを除けば、エモンダかスペシャリッシマどちらかを手放す必要があります。
そこまでして欲しいか?と言われると、微妙です。「グラベルロードを手にする価値をイメージ出来ないので比較検討のしようが無い」と言った方が、より適切かもしれません。
レンタルとかサブスク的なサービスが有れば、お試ししてみたいなとは感じました。