先日投稿した通り、走行中Emondaのフロントディレイラー(以下FD)台座が割れ、フレームが使えなくなりました。
TREKのフレームは、メーカーが生涯保証を謳っています。
ただ、前回投稿した記事と内容が一部重複しますが、「生涯保証」が適用されることは、いまの私にとっては最善の対応では無いように思えました。
とは言え、「後学のため・選択肢の一つ」として、車体を購入したショップ経由で、生涯保証の適用可否をメーカーに問い合わせして貰いました。
なお、結論から言うと、メーカーの見解は「保証対象外」でした。
(厳密に言えば、メーカーは米国です。私が問い合わせた先は、メーカーの日本代理店です。記事内では便宜上「メーカー」と記載します。)
Emondaの専用ワッシャー???
「e-tapFD取り付け時に、Emondaの専用ワッシャーを使用していないことが原因で、部分的に過度な負担がかかってしまい破損。通常使用とは言えず、保証対象外となります(ショップメール原文を一部抜粋)」
Emondaの専用ワッシャー?何ソレ??
保証対象にはならない。この結論は、なんとなく想定の範囲内でした。
ただ、「Emondaの専用ワッシャー」という聞き覚えのない単語が出てきたので、ショップへ断った上で、メーカーのお問い合わせ欄からより詳細を直接確認することにしました。
Emondaをe-tapに組み替えたのは、私です。
2020年の年初に、emondaのオーナーズマニュアルとetapの説明書を見ながら組み付けたので、はっきりと記憶しています。
私は、先の返信を「スラムe-tapを使うなら、Emonda専用のワッシャーを使わなきゃダメなんですよ」と理解しました。
「オーナーズマニュアルの記載を見落としたかな?馬鹿なことをしたな、高い勉強代を払う事になったなぁ」と。
どうしようもない現実を受け入れた上で、今後の勉強の為、メーカーに更に詳しく問い合わせをしました。
- Emonda専用ワッシャーの話は、etap使用時の運用なのか
(スラム機械式であったり、他社コンポを使う場合の運用ルールはあるのか) - いつからその運用がはじまったのか
(私がフレーム購入時点で、既にそのルールがあったのか。若しくは、後日追加されたのか) - オーナーズマニュアルの、どこかに記載があるのか
上記問い合わせに対するメーカーの見解は、以下の通りでした。
- 専用ワッシャーの使用ルールは、etapのFDを装着するときに限った話ではない。
FDを取り付ける場合、メーカー・機械式電動式問わず、必ず使用していただく必要がある。
その旨は、各車体のパーツリスト※に記載している。 - 各モデルの専用部品は、それぞれのパーツリストにてご案内をしている。
2018年式Emondaについても、HP上でパーツリストを確認する事ができる。(以下、確認手順方法を図と文字で説明)
発売後、パーツリストが変更になった事実はない。従って、購入時点から現在まで、その専用台座ルールにも変更はない。 - 上述の通り、各モデルの専用部品はそれぞれパーツリストにてご案内をしているので、オーナーズマニュアルには専用ワッシャーを使う旨は記載していない。
非常に迅速且つ丁寧な返信を頂きました。トレックジャパンのご担当者様、ありがとうございました。
なお、この後も幾つか関連した問い合わせをしましたが、的確且つ納得のできる回答を頂きました。
専用部品は、パーツリストに記載している
「各モデルの専用部品は、それぞれのパーツリストにてご案内をしている。そのパーツリストはHPにアップしており、誰でも閲覧可能な状態になっている」
これについては、HPを確認し、納得しました。
正直言うと「パーツリストに辿り着くプロセスが分かりにくいな、そこまで見れないよ」とも思いましたが、そこまで調べなかった私に落ち度があります。
記載がある以上、それを見なかった私の責任であり、私のミスです。
FDを取り付ける場合、必ずTREK専用のワッシャーを使用しなければならない
ハッキリ言います。コレおかしくないですか?
FDを取り付ける際、コンポメーカー付属の台座では強度を保証出来ないため、例外なく「TREK専用のワッシャーを使用しなければならない」。これが、メーカー側の主張です。
もし「スラムe-tapを使う場合に限って」であったり、「各社の電動式コンポを取り付ける場合は」であれば、納得します。
各種変速機によって台座にかかる負荷が
スラムe-tap → 100
シマノDi2、カンパEPS → 各45
各社機械式→ 25~40
のような場合です(上記数字は、あくまで私が適当に仮設定した例です)。
この場合、スラムe-tapで組み立てる可能性を考慮し、「すべてのモデル・車体に一律100以上の強度を確保する」という製品仕様は、合理性を欠くように思います。安全面の確保を最優先事項として、このような仕様にする場合もあるかとは思いますが。
このようなケースであれば、フレーム単体としてDi2やEPSまでの負荷に耐える+バッファー程度の強度(55?~75程度?)を確保したうえで、「e-tapを取り付ける場合は、オプションパーツで不足分の強度を補ってね」という運用です。これは、その他工業製品でもよくあるパターンのやつです。
しかし、今回のメーカー見解は「スラムシマノカンパ」「電動式機械式」に関係無く、必ず自社ワッシャーの取り付けが必要という見解です。
実質的に「スラム・シマノ・カンパ」×「電動式・機械式」の6パターンしか組み合わせしかあり得ない状況で、その6パターン全てで強度確保を目的に専用ワッシャーの取り付けが必要という事であれば、それは根本的に台座の強度が足りないのではないでしょうか?
Emonda とMADONEの、2022年モデルのパーツリストをメーカーHPで確認したところ、「W531901」という型番のワッシャーを取り付けるよう指定されています。これは、私が乗っていた2018年式Emondaと同じ部品です。
2018年当時から設計が変わっていない以上、今後も設計が見直される可能性は低いのかな?と感じます。
純正品を使わないと保証できない。というのであれば…
今回の話は「通常コンポメーカー純正品を取り付ける部分に、TREKの専用パーツを取り付ける=コンポメーカーの純正パーツを使わない」事を意味します。
これ、何らかの理由でSramのコンポが破損したとき、Sramから「なんで純正品使わなかったの?保証?当社純正パーツを使ってないから出来ないですよ」となる可能性はありませんか?
今回、TREK側が保証対象外と判断した理由が「自社指定製品を使っていないから」であれば、あり得ることだと思うのですが、考えすぎでしょうか?
ユーザーにとって、どの程度台座一体成形のメリットがあるのか
Emonda台座破損の翌週、たまたま各社の自転車を一斉に見る機会があり(というか、メインは写真を見に行ったのですが)、各社のFメカ周りの構造を確認しました。
順番に、「キャノンデール、スペシャライズド、トレック、コルナゴ、サーヴェロ、キャニオン」です。
写真をみると、トレック・キャニオンの2社は、Fメカ台座がフレームに一体成形されています。
つまり、台座が割れたら=フレーム交換となります。
一方、残り4社については、台座の部品をフレームにネジで固定する仕様となっています。
つまり、台座に変形や破損が発生した場合、台座だけを交換する仕様です。
また、拾い画は貼らない主義なので文字情報だけになりますが、ネット上で確認する限りビアンキのオルトレとピナレロのドグマも、台座をネジで固定する仕様になっていました。
これ、一般のユーザーにとって、どちらがユーザーフレンドリーな仕様でしょうか?
言うまでも無い事なのでこれ以上は書きませんが、次自転車を選ぶ際には確認した方が良いなと感じました。
まとめ
TREKユーザーの皆様は、今一度ご自身の車体、特にFメカ周りをご確認ください。
万一このワッシャーが取り付けられていなければ、私の車体のようにフレームごとダメになるリスクがあります。
この記事で一番言いたいのは、コレです。
設計思想がどうだとか書きましたが、そんなことがこの記事で解決されるとは到底思ってません。
また、前回記載したとおり私はディスク仕様のホイールやコンポを持っていませんので、保証が適用になってディスク仕様のフレームに交換されても困ります。
何か保証交渉で有利になろうという意思もありません。(これだけ好き勝手文句を書けば、寧ろ不利でしょう)トレックジャパンが「絶対使ってくださいね」という部品を使わなかったのですから、保証対象外になるのは、当たり前です。
それより、今TREKの自転車に乗っているユーザーの皆様が、私のような思いをしなくて済む事が最も大切です。
また、もしTREKユーザーの方が、コレを読まれた事で不快な気持ちにさせてしまっていたら、申し訳なく思います。
そして、これで終わりであれば、意味全然良いのです。
「必須パーツをつけ忘れて、結果フレームを割ったアホがイチャモンつけている」だけですから。(もしそうであれば、恥ずかしくて記事に出来ないと思いますがw)
だいぶ序盤の方に書きましたが、「etapに組み替えた際、専用ワッシャーを組み付けなかったのは私」です。
私は「組み替えた」んです。beforeがあります。
じゃあbeforeはどうだった?誰が組んだ?元々取り付けてあった部品を、ご丁寧に私が取っ払った?今まで、存在も知らなかったのに?
面倒な事になりました。つづく…かも。続かない、かも。