考え方 自転車以外の趣味

「専門店」には何を期待すべきなのか?


突然ですが質問です。

「当店は◯◯専門店です」という単語を目にした時、どのような印象を持ちますか?

◯◯の中身は、何でも結構です。「エアコン」等の製品名でも良いし、「スバル」等のメーカーでも良いです。「育児」のような、形のないものでも良いかもしれません。

筆者は

  • ◯◯について詳しそう」
  • ◯◯について困った時、頼りになりそう」
  • ◯◯を買うときは、ここで相談して買ってみよう

このような印象を持ちます。専門店と謳われることで「この店・人は、◯◯について造詣が深い、プロフェッショナルなのだな」と、理解します。

ただ、これは果たして正しい解釈なのでしょうか?

最近思うところがあり、今一度「専門店」という単語の曖昧さについて、考えの整理を兼ねてつらつらと記載してみました。

事の発端

先日、唐揚げ専門店の倒産が前年比7倍に増加しているというニュース記事を目にしました。

「メディアが比率を出したときは実数を確認しろの法則」を頭の片隅に置きながら記事を読んだところ、「20213店だった倒産数が、2022年22件に増加した」とのことです。

確かに、7倍以上です。ただ、新規開店数が近年毎年1000店?程度ある事を考えれば、大多数は数は生き残っている計算になります。実際の倒産数はもっと多いのかもしれませんが、極端に数が多いという印象にはなりません。

話が脱線しました。

本記事の論旨は「専門店」という単語の曖昧さについてです。

上記ニュースを読んで筆者が最初に感じたのは

「唐揚げ専門店」の定義って曖昧だよな

ということです。そこから思い当たる事もあり「専門店ってなに?」と自分なりに考えてみたというのが、本記事作成の経緯です。

一般に言う「専門店」とは

「専門店」という単語をインターネット検索すると

”限られたある範囲を集中的に研究・担当などすること。また、その学問や事柄”

とあります。専門「店」であれば、「限られたある範囲に特化した店」という事になります。

確かに、改めて自宅近くの利用したことがある唐揚げ店を見てみると、唐揚げの調理と販売に特化しています。これを見る限り、近所の唐揚げ屋さんは「唐揚げ専門店」です。

ところが、

  • 異常に大きくて食べにくい(コンビニの唐揚げを3つ繋げたようなサイズ)
  • 価格は、コンビニやスーパーの惣菜唐揚げよりも高価
  • 味は、可もなく不可もなく。特に、素材や調理方法に拘っているとか、その他専門店ならではの付加価値があるようには感じない(実際どうなのかは分かりませんが)

私の印象になってしまいますが、近所の唐揚げ店で購入した唐揚げは、概ねこのようなものでした。

率直に言ってしまえば「コンビニの唐揚げと大差がない(むしろコンビニの方が良いかもしれない)のに、これで専門店と言えるのか?」と感じました。

専門店は「何を」専門にしているのか?

冒頭の繰り返しになりますが、「専門店」と言われたら

  1. 食品の歴史や食材・製法の知識
  2. 調理技術の熟達度
  3. 商品の質(味・食感・価格等)

唐揚げ専門店であれば、特に3が高い事を期待します。懐石料理等では、2も重要になりそうです。ビールやワイン・ウイスキーであれば、1も大事です。提供者がこれらの知識を持ち合わせていることで、よりお酒が美味しくなる事もあります。

ただ、前述した通り「専門店=何かに特化している店」です。

唐揚げ専門店の例で言えば、メニューが唐揚げに特化しているから「唐揚げ専門店」なのであって、唐揚げが特別に美味しいから「唐揚げ専門店」では無い、という事です。

つまり、専門店である事と品質水準は、全く別次元の話だと考えています。

なぜ、自転車に「特化した」本ブログで唐揚げ専門店について取り上げたかというと、この話は自転車界隈にも当てはまるように感じたからです。

「スポーツバイク専門店」での出来事

先日、筆者のロードバイクにちょっとしたトラブルがありました。それは「左のクランクが外れない」というトラブルでした。SNSでご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。

経緯としては

  • 某店で、シマノクランクの無償点検プログラムを受ける
  • 思うところがあり、念のため自分でも再点検をしようとする
  • 本来、素手で簡単に外せる程度の力で締めるべきネジが、猛烈に硬く締め付けられていた

というモノでした。

なお、幸い潤滑スプレーを拭いて丸一日置いて、ゴム手袋をつけて全力で廻したらなんとか外れました。部品も壊れず、事なきを得ました。

今回トラブルに遭った部品、シマノのコンポで組まれた近年のロードバイクであれば、殆どのバイクに採用されている規格・部品です。休日、峠や河川敷を走っているロードバイクの少なくとも半分(いや7割くらい?)は、同じ構造の部品が使われています。

そして、このクランク点検をお願いしたのは「スポーツバイクの専門店」です。

当該店のブログ記事等にも「軽快車(ママチャリ)の修理は受けておりません」とあります。よって、販売だけで無く、メンテナンスに関してもスポーツバイクに「特化」しているようです。

ここで疑問なのが、「スポーツバイクの専門店」にメンテナンスをお願いしたにも関わらず、何故素人が数秒で異変に気がつくようなトラブルが起きるのでしょうか?

理由は、筆者にはよく分かりません。

ひとつ言えるのは「スポーツバイク専門店」というお触れ書きは、整備技術や製品知識レベルの高さを担保するモノではないという事です。

(そういえば、とあるメーカーの「専門店」で購入したのに、当該メーカーの独自部品が取り付け忘れられたなんて話もどこかで聞いた事があります。何の為のメーカー専門店なんですかね?)

「対専門店対策」はあるのか?

これが無いのが、この問題の難しさだと思います。

唐揚げであれば、多くの人は過去に食べた事があると思います。

コンビニや居酒屋etcの唐揚げと、味や価格を比較することも出来ます。よって、専門店の唐揚げの良し悪しや、価格の妥当性を判断する基準を持ち合わせています。

自転車の場合、筆者は少しばかり知識と経験があります。よって、「この部位のネジが簡単に外れないのはおかしい」と、数秒で気がつく事が出来ました。

ただ、知識がない分野でこのような問題が起きた場合、「専門店・専門家」が提供する製品・サービスを評価する事が出来ません。

筆者が、もしバーで風味の劣化したウイスキーが出てきても「これはこういう銘柄ですよ」と言われたら信じてしまうし、クルマから走行中異音がしても、整備士に「寒くなるとベルトが硬化して、どうしても音が鳴るんです」と言われたら、そんなモンかと納得してしまうかもしれません。

かといって、自分の身の回りで起こる物事に対して、全て知識をつけろというのも現実的では有りません。

であれば、

  • 「専門店」は、知人に紹介して貰う

でしょうか?

まとめ

専門店とは、それに特化しているという意味であり、必ずしもそれに関して品質が一流とは限らない。もし品質に期待するのであれば、知人に紹介してもらうのが良い。

筆者は、このように考えています。

リアルで接点のある人に専門家を紹介して貰うというのは、ネット・SNSの時代に面倒くさいとは思います

ただ、周りまわって、コレが1番確実な気がしています。

ネットやSNSが普及している現代の方が、現実の人間関係の価値は以前に比べて高くなっているように思いました。

最後になりますが、専門店の看板を掲げ、実際に凄くレベルの高い技術・知識を提供してくれる人・店がある事も承知しています。

○○専門店って書いてあったら怪しい!」ということでは有りません。あくまで「こういう事例もある」という話である事を補足して、まとめとしたいと思います。


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