Bianchi Specialissima

ビアンキ スペシャリッシマディスク Bianchi Specialissima 半年レビュー


 

ビアンキのスペシャリッシマディスクが納車され、約半年が経ちました。週末のトレーニングは勿論の事、人生初の300kmブルベにもスペシャリッシマで参加しました。(富士ヒルは、迷いましたが前日の試走にのみ使い、本番は使いませんでした。理由は後述)

私のファーストインプレッションについては、こちらで記載しましたとおりです。

1日?(数時間?)乗ってみての感想は、大手メディアetcでも見ることはできますが、「所有して、中長期的な視点でどう感じるのか」は、中々記事が出回りません。これは、自転車に限った話ではなく、パソコン・スマホその他全般に当てはまる話かもしれません。

という事で、購入から約半年が経過し購入直後の熱が冷めてきたいま、改めてスペシャリッシマディスクの良いところ・良くないところを記載してみたいと思います。

結論から言うと、半年経ったいまも非常に満足しています。購入当初より乗り方が分かってきた今、購入直後より気に入っているかもしれません。また、長距離乗っても疲れにくいという、購入前には想定していなかったメリットもありました。

なお、特段の記載が無い限り、TREKのエモンダリムブレーキ(×Roval CLX50 or Canpagnolo Zonda)と比較した印象を記載しています。

スペシャリッシマディスク ココが良い

レスポンスが良いのに、脚当たりが良い

エモンダ(×Roval CLX50)と比較して、短い丘陵地帯でアタックのようなペースアップが掛かった時のレスポンスが、非常に良いと感じます。かといって、脚が跳ね返されるような硬さは感じません。無敵に反応が良いバイクは他にもあると認識していますが、その様なフレームは往々にして脚も早々と削られてしまいます。

3時間程度のロードレースで順位を追求する人は、兎に角レスポンスの良い・且つ空力性能の高いバイクが良いと思います。ただ、私のようにヒルクライムレースを少々嗜むような脚力レベルの人であれば、スペシャリッシマくらいの硬さ・味付けの方が丁度よく感じるのでは?と思いました。

エモンダとの比較でいうと、エモンダは、シッティングで峠を長時間一定ペースで登る分には、気持ちがよい自転車です。なお、これに関しては、急勾配でなければスペシャリッシマも遜色ありません。

そこに加えて、3分程度の丘であれば、スペシャリッシマでダンシングした方が掛かりが良い印象です。踏んだ時の反応が良いので、乗っていて毎回非常に楽しいです。イメージ的には、尾根幹の様な道は、スペシャリッシマで走った方が気持ちよさそうです。

そして、掛かりが良いとかレスポンスが良いと書くと「レーシングバイク」感が前面に出てしまいますが(いや、実際一流のレーシングバイクなのですが)、長距離を乗っても疲れが出にくかったのは、このフレームのもう一つの良さだと思います。

4月に、納車1ヶ月半で人生初の1日300km走行を経験しましたが、難なく走れてしまいました。

エモンダも脚には優しいのですが、長距離乗ると脚というよりは体全体(特に上半身)が疲れます。これは、車体が軽量に振っているが故、挙動がややシビアだからかもしれません。

スペシャリッシマは、レーシーに走らせるとキビキビと走るし、ブルベのように一定ペースで長時間淡々と走らせても、妙な疲れが出ません。

一流レーシングバイクにもかかわらず、なんでもハイレベルでこなしてしまう懐の深さが、最大の良さだと感じました。特に、長距離での疲労の少なさは、購入前には想定しておらず、予想外に良かったポイントです。

筆者レベルの脚力であれば「ヒルクライムレース・ロードレース・ブルベ」まで、何でも高レベルで走れてしまう自転車だと思います。

自分のポジションが出せる

上述した「乗っていて楽しい」に大きく影響するのが「自分のポジションで乗れること」だと考えています。サドル高・サドルのセットバック・ハンドル高・ハンドル幅・トップチューブ+ステム長etc、自転車を乗り込んでいる人ほど「自分の数字」があると思います。

昨今は「最速仕様」(と販売上の都合)を追求するが故に、乗り手が自転車に合わせなければならない車体も珍しく在りません。このような仕様の自転車、「レースのために、4時間だけ我慢する」という目的であれば「アリ」だと思います。

ただ、殆どの人にとっては、乗り手がメインで自転車は次点。

私は、乗り手に併せてポジションを微調整出来る方が、長い目で見たとき「良い自転車」だと考えています。「数万円払ってミリ単位のフィッティングを受けたのに、ハンドル幅やステム長がセンチ単位で合わない」自転車は、いかがなモノかと。

その点、スペシャリッシマディスクは、シートピラーも汎用。コラム周りは若干「アレ」する必要はありますが、ハンドル・ステムはある程度選択肢があります。なお、オーバーホールのタイミングで、ハンドルはコレにする予定です。

仮に部品が破損しても、汎用品であれば調達も容易です。トレンドからは逆張りで一見時代遅れにも見えますが、一般ユーザーにとって「専用設計品が使われていない」のは、実はメリットなのでは?と考えています。

見た目が格好良い

完全に個人的な感想で申し訳ありません。

本当はグリーンが欲しかったので、正直に言えば黒は妥協でした。ただ、時間も経ち今はそれなりに気に入っています。ロゴの色味が見る角度によって変化するサマは、エモンダとは違う良さがあります。

エモンダは、プロジェクトワンで自分の好きな色・配色に仕上げました。そこと比較するのはさすがに酷ですが、(個人的には)十分所有欲を満たされるデザイン・質感だと思います。

欲を言うと、個人的は黒いメインの部分にも、エモンダのようにラメが入っていたら完璧でした。

なお、本カラーは重量を減らす為に塗料が薄いので、それがムリな話である事は理解しています。あくまで、「理想を言うなら」の話です。

スペシャリッシマディスク ココが残念

ここまで「良かった」ポイントを挙げてきましたが、勿論良いところばかりでは在りません。

登坂での軽快感、「アイツ」には敵わない

「アイツ」です

こちらも「アイツ(リムブレーキのエモンダのこと)」と比較しての話となりますが、登坂中の軽快感はエモンダに劣る印象です。10%を超えるような急勾配のヒルクライムでは、顕著に感じます。

急勾配の軽快感だけで言えば、エモンダのホイールをゾンダに変更してもなお、エモンダのほうが気持ちよく登る感覚があります(なお、タイムはゾンダと比べたことがないので分からない)。

急勾配の坂を登るとき、私はシッティングで上半身をやや左右に揺らして体重を掛けるように登ります。(マニアックな話ですが、TREK Segafredoのモレマ選手の走り方が、イメージとしては近い。ファンだからというのもありますが、集団でもすぐにどこにいるかが分かります)

この時、エモンダは急勾配でもペダルがスッと沈み込んでリズムが取りやすいのですが、スペシャリッシマディスクはそれが重い印象です。スペシャリッシマディスクは、急勾配になると体重の掛けにくさを感じます。

なお、ローギアはエモンダの方が重い(36-27。リッシマは34-30)ので、ギア比だけで考えれば普通は逆になるはずです。

六甲山、エモンダ向きなんですよね

自転車全体で比較したとき、スペシャリッシマディスクのヒルクライム性能が低い、ということは決して無い(はず)です。実際、緩斜面であればデメリットは殆ど感じません。

仮に登りが10分程度の場合、スペシャリッシマでも「ダンシングで押し切れてしまう」と思います。昔の輪島ロードレースのような短い登りと下りが連続するコースでロードレースを走るのであれば、上述したレスポンスの良さも相まって、スペシャリッシマの方が勝手が良さそうです。

ただ、「リムブレーキのエモンダ」と「長時間急勾配の登坂」で比較すると、機構の違いや重量差で負けてしまうのでしょう。「急勾配長時間の登坂」は「アイツ」が最も得意とする分野です。

競技時間が20分を超え、急勾配を含んだヒルクライムレースであれば、私は今後もエモンダを選ぶ気がします。

スペシャリッシマの選択が悪いとは思いませんが、手元にもっと良い「アイツ」がいる以上、それを使わない理由はありません。

ハンドル・ステムのACR規格縛り

ACR規格の制約により、使用できるハンドル・ステムに制限があります。また、機械式変速機で組み立てた場合、ブレーキワイヤーはACRで内装するにも関わらず、変速機のワイヤーは外装です。

機械式で組むと「何のためにブレーキだけ内装するの?コレなら、4本とも外装で良いのでは?」という、非常に残念な状況が発生します。

これらの欠点、前者については「アレすると実は」な設計に、一応なっています。ただ、他社製品の多くは、「アレ」せずとも一般に流通するハンドル・ステムを取り付ける事が出来ます。

後者については、「電動を使え」というメーカー側の無言の圧力なのでしょうか。先日シマノから105の電動コンポが発表されたので、予算を抑えるのであれば「フレーム+新型105」という組み合わせは良いかもしれません。

ユーザー目線で見れば、ACRの採用に何かメリットがあるようには思えません。現行のエモンダやターマックSL7といった仕様の方が、よっぽどユーザーフレンドリーな設計だと思います。

カラーオーダーのサービスは、T社に軍配

これは、車体と言うよりメーカーが提供するサービスの比較です。前述した「理想の色」を実現するため、ビアンキにも「タボロッツァ」というカラーオーダーのサービスはあります。

ただ、TREKのプロジェクトワンと比較すると、認知度・普及度は低い印象です。また、カラーや塗装のバリエーションも、プロジェクトワンの方が充実しています。

ネット上では、インプレッサのラリーカー如く「スバルブルー×イエロー」で配色されたエモンダも目にしたことがあります。完全に個人的な嗜好にはなりますが、あれは格好良かったです。

せっかくこれだけの価格を投じるなら、色も自分の好みにできればなぁというのが、本音ではないでしょうか?スペシャリッシマのブラックも気に入ってはいますが、色調・配色はエモンダの勝ち。

スペシャリッシマディスクは誰にオススメ?

「普通を『良し』と思える人」だと思います。

スペシャリッシマディスクは、良くも悪くも「普通」です。ドロップシートステーは採用されていませんし、第7世代マドンのような目を惹きつける特徴も在りません。

重量も、十分軽量モデル(カンザキ吹田店さまのyoutube曰くフレーム実測で805g)ですが、他社バイクを含めると最軽量ではありません。

ぱっと見の見た目や設計は、比較的シンプルです。近年のトレンドで取り入れたものはワイヤー内装(但しシフトは外装)くらいで、ユーザー側ではそれ以外の目新しさは感じません。

本気でロードレースに取り組む目線で見ると、購入する決め手を欠く印象は否めません。走りの質感はレーシーそのものですが、スペック表を並べた時、空力性能・重量・価格、どこから見ても「ココは他車を押さえて1番、最先端」といったポイントは見当たりません。

これらの、悪く言えば「突き抜けた特徴のなさ」を、どう判断するか。ここが、評価の分かれ目かと思います。これをポジティブに捉えられる人はオススメです。価格以外。

購入前に試乗される事をオススメします

スペシャリッシマディスクは、購入前に1回試乗しましたが、「あぁこんな感じか」という感想でした。少なくとも「コレはめちゃくちゃ凄いぞ!」という感覚は、在りませんでした。

ただ、エモンダを試乗したときも「あぁこんな感じか」という印象だったので、「これは自分に合っていそうだな」という感覚はありました。

「たった30分乗って何が分かるのか」というご指摘、ごもっともだと思います。

ただ、前述した通り、スペック表を並べて他社製品と比較しても、良さは全く見えてこないと思います。試乗しても、良さが伝わるかは試乗車のホイールスペックetcにも依存するので、何とも申し上げ難いところではあるのですが…

まとめ

スペシャリッシマディスクを購入するまでは、重量や空力では他車と勝負出来ない自転車が、やむなく乗り味やらフィーリングといった「優劣が判りにくい項目」をアピールするのだと思っていました。というか、いまでもそのように思っている節は若干あります。

ただ一方で、幾ら最新の仕様や設計で空力性能がナンバーワンになったところで、それらは次モデルでナンバーワンではなくなります。それどころか、他社も「最高」の自転車をターゲットに、それを上回る「次の最高」の座を目指して開発してきます。

そして、空力に限らずなにか極端な特徴を持つモデルは、一方で陳腐化するのも早い印象です。

毎年最新モデルを渡されるプロ選手であれば、それでも構わないと思います。ただ、一般人はなかなか「最新モデルを毎年ハシゴ」はできません。

そうであれば、流行り廃りに左右されず、走りのレベルと扱いやすさに優れたスペシャリッシマのような自転車こそ、アマチュアサイクリストにとって良い選択肢の一つなのではないか?と思います。


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