考え方

サイクリストは、走る場所でおカネを使わないのか? 〜サイクリストから見た、サイクルツーリズムの可能性〜


先日「サイクリストは、走る場所でおカネを使わない」「イベントを開催しても、さほど旨味がない」というSNS上の投稿に対して、様々な意見がありました。

元ツイートじゃなかったXに対するレスポンスとしては「現地の名産品を食べたり、宿泊もするぞ」「確かに、人によっては走ったら直ぐ帰っちゃう人も居る」etcあったと思います。そもそも、サイクリスト・自転車利用者にお金を使ってもらう事に無理があるという投稿もありました。

個人的には、レースに行った際はその地の飲食店に行き、お土産には現地の地ビールや地酒を買っています。

ただ、これが「サイクリストが使った金額」にカウントされるのかは分かりませんが。また、元ネタの「サイクリスト全般の金払いの良し悪し」も分かりません。良し悪しの基準も、人によって異なると思います。

とはいえ、イチサイクリストとして、サイクリストと自治体の関係は気になる話題の一つです。レースやイベントは、各自治体の公道を使って行われます。であれば、自治体側にもメリットが無ければ、早晩そのようなイベントは開催出来なくなってしまいます。

と言うことでこの記事では、

  • 「サイクリストは、走る場所でおカネを使わない」は事実なのか?
  • どうすれば、サイクリストが現地でお金を使い易いのか?
  • サイクリスト側だけの問題なのか?

を自分なりに考えてみたいと思います。

いつもの如く、先に自分なりの結論を。

「サイクリスト“だからこそ”使うおカネって、殆ど無くない?」「双方が、理解を深める必要があるのでは?」

個人的には、このように考えました。

この結論に至った経緯を、これから記していきます。

まずは「そもそもサイクリストは、走る場所でどのようにお金を使うのか?」を整理してみます。

サイクリストの、主なお金の使い先

まずは、サイクリストがどのようにおカネを使うかを考えてみます。

  • 水分/栄養補給(コンビニ・自販機)
  • 飲食(補給を除いた、カフェや店内での食事を想定)
  • 土産物
  • 入場料 (お城の参拝料や施設の入園料、銭湯利用料)
  • イベント参加費
  • 宿泊費
  • 機材・消耗品購入
  • 交通費
  • 保険代
  • サブスク

ざっと思いつくまま挙げるとこんな感じでしょうか。なお、機材以下は今回のテーマ「サイクリング時に現地で使うお金」では有りませんので、本記事では触れません。

次に、サイクリングのスタイルについて。こちらも思いつくまま列挙します。

サイクリングのスタイルについて

自宅発

  • 半日程度の日帰りサイクリング・トレーニングライド(自走帰宅)
  • 丸一日、日帰りトレーニング・ツーリング(自走帰宅)
  • 〃 (行き自走帰り輪行)
  • 全行程自走、途中宿泊あり
  • 行き自走帰り輪行・途中で宿泊あり

現地発(クルマor電車で移動して、その地をサイクリングする)

  • 半日程度サイクリングして、日帰りする
  • 夕方まで乗って、日帰り
  • 宿泊あり

イベントに参加する

  • 日帰りで参加出来るイベント
  • 宿泊を伴うイベント

抜け漏れはあるかもしれませんが、おおよそカバーできていると思います。「移動して、宿泊込みのイベントに参加」etc、合わせ技もあると思います。これらを大きく分けると

  • 自宅発着 or 電車やクルマでの移動を伴う
  • 日帰り or 宿泊を伴う
  • イベント参加の有無

この3軸に大別出来ると思います。

スタイルとおカネの使途を表にしました

次に、お金の使い道とサイクリングのスタイルを、一つの表にまとめました。また、前述したお金の使い先を表の横軸に並べ、おカネを使う可能性が高い順にABCで区分しました(Aが、使う可能性が高い)。なお、ABCの判定基準は、筆者の独断と偏見によるものです。

    水分補給 飲食 土産 入場料 宿泊費 イベント代
全行程自走 半日日帰り A B C B
  終日日帰り A A C B
  宿泊あり A A B B A
移動してから乗る 日帰り A A A B~A
  宿泊あり A A A B~A A
イベントに参加 自走日帰り A A C B
  移動あり日帰り A A A B~A A
  移動あり宿泊あり A A A B~A A A

これで、お金の使い方とサイクリングのスタイルが、おおよそ網羅できたと思います。

このABCは、読まれている方の感想も気になります。

おカネの使途 詳細解説

水分/栄養補給

いずれの場合も○としました。よほど真冬の寒い時期で無い限り、半日程度のサイクリングでも水分補給は必要です。1回程度はコンビニに寄る人が多いでしょう。自販機でアイスを食べたからコンビニは寄らない?そういうのは例外中の例外です。

飲食

半日程度のサイクリングでは、飲食の時間を確保するのは難しくなります。飲食が目的で、サイクリングはオマケ程度なら出来るでしょう。逆に、丸一日自転車に乗るパターンであれば、途中で飲食店に立ち寄る可能性は高まります。

土産物

半日程度のサイクリングでは、土産物を購入したくなるような所まで移動する事は困難です。その上、自走の場合は土産物の購入には制限があります。ご承知の通り、自転車では買った土産物の運搬が難しいからです。幾ら遠地に出向いたとしても、嵩張るものは買えないし、冷蔵・冷凍保存品も購入対象から外れます。

「土産物でおカネを使って貰いたい」と考えるならば、補給食ないし飲食として現地でその場で消費出来るモノ(名産品の食べ物)が良さそうです。もしくは、そもそも輪行・クルマ移動の人をターゲットに絞る必要があります。

入場料

「仲間内で大阪城を見に行こう(仮)」的な、入場料が必要な目的地に行くサイクリングをイメージしました(なお大阪城は、敷地に入るだけなら無料)。

イベントに参加する場合は、イベント費用に含まれている事が多いと思います。MTBパークの使用料やキャンプ場の利用料、日帰り温泉の費用もここに入れようと思います。

出先でサイクリングした後は、帰る前にお風呂に入りたくなります。これは、一般観光客には少ない、サイクリスト特有の消費行動のように思います。

宿泊代

日帰りでなれば、宿泊費が必要です。当たり前ですが。

余談ですが、宿泊する場合、客室に自転車を持ち込めるかは確認して置いた方が良いと思います(以前SNS上でトラブルになったのを見かけました)。客室がNGでも、館内のボイラー室のような場所に置かせて貰えるのであれば良いと思います。外の駐輪場に一晩放置は、気が引けます。

イベント代

ロングライドイベントやレース、現地でのガイドツアーetcを想定。

サイクリスト特有のお金は少ない?

以上、水分補給~宿泊費まで、各費用をサイクリストがどのように使うかを想像しながら記載しました。ここで気がついたのが、上記のお金の使い方、実は一般の観光客と殆ど同じじゃないか?という疑問です。

イベント以外、サイクリスト特有の費用は発生しないのでは?

    水分補給 飲食 土産 入場料 宿泊費 イベント代
全行程自走 半日日帰り A B C B
  終日日帰り A A C B
  宿泊あり A A B B A
移動してから乗る 日帰り A A A B~A
  宿泊あり A A A B~A A
イベントに参加 自走日帰り A A C B
  移動あり日帰り A A A B~A A
  移動あり宿泊あり A A A B~A A A

先の表を再掲します。

水分補給~宿泊費の項までは、オートバイやクルマで同じ事をしても、概ね似たように発生する費用だと思います。私が、妻と娘を連れてクルマでその地を訪れても、似たようなお金の使い方をする筈です。

例えば、サイクリストの補給食に適した現地の名産品は、クルマで訪れた人が購入して車内で食べる可能性は十分にあります。

逆に、土産物や宿泊費用に関していうと、サイクリストにおカネを使って貰う方がハードルは高い印象です。お土産でいえば、クルマの人は嵩張るモノや冷蔵・冷凍モノも購入出来ます。宿泊に関しても、クルマの人は駐車場さえあればOKな人が殆どだと思います。

「宿泊先の駐車場は屋根必須、屋根が無いところには泊まらない」という人。ゼロでは無いでしょうが、かなり少数派ではないでしょうか?

ここまでを纏めると、

イベント参加費以外の各種おカネの使い先は、自転車利用者・一般観光客問わず共通に発生するように思います。つまり、その地でサイクリストが使ったお金であっても、それは「観光客が来たから使われたお金」であり、「サイクリスト故に使われたお金」では無い。

このように考えました。

という事は「自転車を使った何か」をやらない限り、「サイクリスト・自転車利用者が来たからこそ使うお金」は生まれないのかなぁ?と。それが寺院仏閣巡りガイドツアーなのか、イベントなのかは分かりませんが。

公道を閉鎖するイベントは、儲からない?

先日、ヤフーニュースにこのような記事が出ていました。

ざっくり言えば「公道を使ったイベントを、参加者の参加費だけで賄うのは非常に困難」という内容です。公道を封鎖する距離が伸びれば、その分警備や事故対応に掛ける人数が必要です。

もし、数km程度の周回コースにすれば、警備費用は抑えられるかもしれません。ただ、コースやイベント内容に魅力が無ければ、そもそも参加者を集めるのが難しくなります。

となると、公道レースは地域の温情で成立している部分が大きいのかもしれません。これを「ヒルクライムレースを頑張っています」というブログで書くのもどうかとは思いますが。

もしこれが事実であれば、言い方は適切でないかもしれませんが、観光客があまり来ない地域は今後もレースが成立する可能性は高いと思います。ただ、サイクリスト以外の観光客需要が高い地域は、レースの運営が難しくなる(or参加費が大幅に高騰する)気がします。元々観光客で賑わう地域は、「レースやイベント開催でこれだけの経済的メリットが発生」という実績を、積み重ねなければいけません。

公道を封鎖する事でコストが膨れ上がり利益が生まれないのであれば、公道を閉鎖せず出来るイベントの方が良いのでしょうか?

ここは、筆者は各種イベントの中身を存じ上げませんので、分かりかねます。

サイクリストだけの問題なのか?

ここまで、サイクリスト側から見たおカネ事情について記載してきました。

個人的にもう一点気になったのは、イベント主催側の「イベントを開催した割には経済効果が少ない」と言う話です。

以下、例として、筆者が先日参加した某レースの事例を用いますが、当該レースの主催者及び開催した自治体が、このような発言をした事実は確認しておりません。あくまで例です。

なお、本項は批判とかでは無く個人的に疑問に思ったことを率直に記載しました。筆者の語彙力や文章力の不足故に、批判と捉えられかねない文言がもしあったら、それは先にお詫びします。

「経済効果」は正しく集計出来ているのか?

本題に入ります。

この「経済効果」は、何を以て「経済効果」なのでしょうか?そして、それは、どのようにして効果を計測・検証しているのでしょうか?また、主催者側はどれくらいの「経済効果」が発生することを見越してイベントを開催するのでしょうか?

例えば、筆者は某イベント(ヒルクライムレース)参加にあたり、開催地(M市内)で食事と宿泊をし、帰宅前に家族と自分用のお土産を購入しました。

この場合

  • 宿泊先:ホテル予約サイト経由で予約
  • 食事:市内のお蕎麦屋さんで土曜の昼夜。日曜は、すみませんレースでパンクしたので気落ちしてすぐ帰っちゃいました
  • お土産:市内のスーパー

でおカネを使っています。これらは「イベントが開催された(参加した)からこそ、筆者が開催地で使ったおカネ」と言って良いと思います。

疑問なのは、こららのおカネは、イベント主催者側・運営会社がいう「経済効果」にカウントされたのでしょうか?推測になってしまいますが、恐らくカウントされていない(ものもある)ような気がします。

無論筆者は、地域への経済的貢献や大会存続の為という大層な目的でおカネを使った訳ではありません。とはいえ「現地で(自分の出来る範囲で)おカネを使った」と認識しています。

ところが、主催者・自治体側は「使われた形跡が全然見えない」と(仮に)考えているとします。

もしこのような事象が発生しているのであれば、このギャップは少しでも埋めるように工夫する必要があるのでは?と感じました。

例えば宿泊に関して言うと、大会サイトから申し込む場合は、12名以上のプランしかありません。もし1名で申し込むと、見ず知らずの人と相部屋しか選択肢がありませんでした。これについては、感染やコンディションを整える上でリスクがあると判断し、自分でホテルを予約することにしました。

大会サイトから申し込めば「経済効果」にカウントされると思われますが、私のように個人で予約してしまうと除外されてしまうと想像します。「市内にオカネを払って宿泊した」という事実は、同じ筈なのですが。

食事についても、一人の人間が旅行(敢えて旅行と書きますが)先で食べる量・回数は、滞在時間で凡そ推測できます。また、大会側で、特定の飲食店で使える食事チケットを販売するetcしなければ、イベント参加者が現地でどれだけ飲食をしたのかを測定するは困難です。

と言うことで、上記のようなオカネが「ノーカウント」扱いにされ「イベントを開鎖しても旨みが少ない」と言われてしまうと、そこに関しては若干疑問があります。

自治体側・主催者側の言うとおり、イベント参加者の中には現地では殆どおカネを使わない、いわゆる「旨みの無い人」も一定数居ると思います。その一方で、イベントの継続的な開催・発展のため、主催してくれた自治体でおカネを使う・使いたいと思っている人も居るはずです。

なお、繰り返しになりますが、文中の内容はあくまでも例です。当該レースの主催者及び自治体が、このような発言をした事実は確認しておりません。

まとめ

「サイクリストが来訪したからこその、その地への(経済的)メリット」これは、現状非常に小さい可能性が高い。

これが、この記事を作成した時点での暫定的な結論です。その意味では、私を含めたサイクリストは「サイクリストウェルカム」な地域・店を作って貰うのでは無く「サイクリストNG」な地域・店を生まないように心掛けるのがまずは大切かなぁと思いました。

その上で、後日家族や友人を巻き込んでその地を訪れることも、大事な事だと思います。サイクリストがその地を知らない人を連れてくれば、それは「サイクリストがその土地を訪れた事で発生するメリット」になるはずです。(意訳:家族の財布で渋峠か乗鞍に行って、私は自転車に乗りたい)

一方で、自治体側が「サイクリストは金払いが悪い」とみなして自転車イベントを他のイベントに切り替えても、それが良い手なのかは筆者には分かりません。自分勝手ではありますが、いくつかの好きな大会は今後も存続してほしいなぁと願うばかりです。


-考え方
-

© 2024 Better than nothing!やらないよりは良いロードバイクトレーンング Powered by AFFINGER5