先日、スペシャリッシマのハンドルとステムを、SMRのモノから軽量(普通)の製品に交換しました。以下、Before → Afterです。
- FSA Non-Series SMR Stem → FSA Gossamer Stem
- Ritchey WCS NEOCLASSIC HANDLEBAR → ROVAL RAPIDE ROAD BAR
本記事は、交換の記録です。
交換した理由
SMRのステムが、非常に太い&重く、使いづらいと感じていたからです。
まず太さについて。直径が太い事により、ブルベの際にガーミンを取り付け出来ないという(結構致命的な)実害がありました。
ハンドル周りに全て取り付けて、ステムは何も無しというのは、勝手が悪かったです。かといって、それだけの為にリムブレーキのエモンダで走るのもなぁと。
また、重量について。
取り付け前には実測していませんでしたが、カタログ値で100mmのステムで236gもあります。私は120mmの製品を使っているので、もっと重いでしょう。
一般に、ステム重量と言えば100mmで130g程度。倍まではいかない迄も、明らかにSMRのステムは重すぎです。
ハッキリ言って、重いステムを使う理由は特にありません。ココでも書いたとおり、ステムを軽くしたところでヒルクライムのタイムにどれだけ寄与するかは分かりません。むしろ、あまり意味が無い可能性は高いです。
ただ、もはや「生理的にムリだった」という感じです。太い分剛性は高いのかもしれませんが、全力でもがいても1000wも出せない私にとっては、そこまでの剛性は不要です。
むしろ、単なる重りを纏っている可能性が高いと判断しました。
ちなみに、交換後のステムとハンドルの重量は以下の通り。
ステムだけで84.5g、ハンドルで53g、計137.5gの軽量化です。
交換作業について
ヘッドパーツ・ステム・ハンドルを一式交換します。過去に面識があり、また、同じ作業をされたことがあるイワムラ氏に依頼しました。その節はありがとうございました。
(京都市内とはいえ上の方なので、遠かった…)
交換して良かったところ
ハンドリングが軽く、クイックになった。
先日の「実験」で、初めて走行しました。結果、操舵性が改善され非常に満足しています。
スペシャリッシマのファーストインプレッションで、「スペシャリッシマの方が、直進安定性が高い。ハンドリングは、エモンダの方がクイックな気がする」と書きました。
これ、裏を返せば「スペシャリッシマのハンドリングは、エモンダに比べて鈍重」という事です。俗に言う、インプレ構文です。
なお、「直進安定性が高い」ことは、一概に悪いという事ではありません。ただ、スペシャリッシマは「軽量オールラウンダー」という肩書きの割に、ずいぶんハンドリングがまろやかだなぁという印象はありました(プレッシャーを掛けすぎで回転が渋い、何てことは勿論なく)。
ステム交換後は、それがエモンダと同等に近い感覚になりました。ダウンヒル・コーナリング中に違うと感じるのは勿論ですが、意外にヒルクライム(登坂)中でも効果を感じました。
というのも、ハンドルってヒルクライム中でも微妙に動いています。ここが軽やかに動くと、軽快感に繋がるのかなぁと。
「軽快感」というと、車体の総重量やホイールの重量が真っ先に影響してくると思いますが、ステム・ハンドルも思った以上に意味があるのかも知れません。車重はまだまだエモンダに及びませんが(及ぶ日が来ることはないでしょう)、登坂中の質感はエモンダに数歩近づいた印象があります。
エモンダの方が軽やかですが、スペシャリッシマもかなり高いクオリティになった様に思います。
無論、向上したのは軽快「感」ですので、タイムが良くなるかは別問題です。多少ハンドルがエアロになったとは言え、これで富士ヒルのタイムが3分速くなる訳はないです。
それでも、走っていて非常に気持ちよい仕様になりました。非常に満足しています。
137g程度の軽量化になった
計量すれば、軽くなったのが分かります。ただ、車載するために持ち上げただけでは、違いはほとんど感じません。
計量して云g軽いことよりも、上述した動きのスムーズさに交換の意義を感じています。これはオマケですね。
空気抵抗が(多少)減った(筈)
ハンドルの製品ページによると、”空力設計によりラウンドバーに比べ40Km走った時に20秒以上のタイム短縮を実現”とあります。
まず、ヒルクライムレースで40km走るレースは(私が知る限り)台湾のタロコのレースくらいしか思いつきません。
また、40km走った時の速度が不明です。想像ですが、カンチェラーラやガンナまではいかないにしても、一般アマチュアがヒルクライムレースで出せる速度域ではなさそうな気がします。
という事で、これもオマケ程度と認識しています。個人的には、「リーチとドロップが身体に合うエアロハンドル」「(単純にいえば高いけど)他社比でそこまで高い訳じゃない」と言う意味でスペシャライズド製品が好きだったので、購入しました。
交換して悪くなったところ
今のところ、特に感じません。強いて言うなら、直進安定性・横風への耐性が多少落ちた可能性はあります。それでも、十分メリットが上回っていると感じています。
考察
そもそも何故このような重いステムが使われているのか?というと、ブレーキのオイルホースを内装するためです。厳密に言うと、SMRの内装方法は、エモンダやターマックのようにステム下にホースを沿わせて、その上からカバーをして「内装」としています。「ステムの中を通すACR」と「下に沿わせるエモンダ式」の中間みたいなイメージでしょうか?
では、なぜオイルホースを内装するのか?といえば、最大の目的は、空気抵抗の削減です(ですよね?)。見た目がスッキリするのもメリットだとは思いますが、それは空気抵抗を削減した結果得られる、二次的なメリットだと思います。
じゃあ、なんで空気抵抗を減らすの?というと、それは言うまでもなく「その方が速くなる」「速さを数値化できる」からです。
空気抵抗は、削減すれば数値化して、商品のPRに使う事ができます。「xx km/hで走行時に△w削減」的な、アレです。
エアロは、数値化して測定が可能です。一方で、ハンドリングの「感覚」は測定出来ません。
今回ステムを交換してみて、ワイヤーが若干露出しました。空気抵抗的には悪くなっていると思います。
ただ、操作性は向上しました。ハンドルもセットで交換しているため、ハンドリングの悪さが全部ステムのせいではないと思いますが。
「空気抵抗の向上と引き換えにメンテナンス性は最悪」がその最たるだと思いますが、この界隈は現状、数値化出来るスペック改善のために数値化出来ない性能を犠牲にしているのでは?と感じた次第です。
理論上速く走るバイクも必要だと思いますが、(色んな意味で)一般サイクリストが扱いやすいバイクも、同じかそれ以上に必要だと思うのですが。スペシャリッシマは、色んな意味で比較的扱いやすい方だと思います(お値段除く)
まとめ
ステムの軽量化とハンドルのエアロ化が、ヒルクライムのタイムにどれだけ繋がるかはよく分かりません。たまにリクエストを頂くのですが、これは実験のしようも有りません。同日に、通常ハンドルをエアロハンドルに組み替えるのは、ムリです。
それよりも、単純に乗っていてより楽しくなった、という点において満足しています。
なお、一体型ハンドルであればより計量に仕上げることが出来てもっと操作性は良くなるのでしょうが、デメリットも大きくなります。
個人的には、軽量(今回の製品は普通レベルですが)ステム+カーボンハンドルの組み合わせが、一般サイクリストにとって最大公約数的なメリットが最も大きいのかな?と思います。
本記事が、ハンドル選び?何かのご参考になれば、幸いです。