ヒルクライム 実験 機材

自転車を300g軽量化すると、ヒルクライムはどれくらい速くなるのか?


「ヒルクライムを速く走りたいとき、軽量化はどの程度タイム短縮に繋がるのか?」

ヒルクライムレースを頑張りたい勢の私にとって、「ヒルクライムでは、エアロと軽量どっちが有利なのか?」の次に気になる疑問のひとつです。

上記記事でも記載していますが、これを読まれている皆様は私と同じように、カタログ重量とお値段をにらめっこしながら「替える?買える?」と悩んだ経験が、おそらく一度や二度ではないと思います。

ここで、ふと湧いたひとつの疑問「決して安いとは言えないこの軽量化、果たしてヒルクライムの速さにどれくらい影響するの?」

今回は、これを実験してみました。

いつも通り、最初に結論を記載します。

ヒルクライムTTにおいて、総重量を300g軽量化すると

距離2.4km 平均勾配7.2%の峠では、タイムは1秒も縮まりませんでした。」これを、富士ヒルに置き換えると…といつもなら書く所ですが、もちろん割愛します。

この投稿が、皆様の機材選択の参考になれば幸いです。

実験のきっかけ

過去数回「空力 vs 軽量」にスポットライトをあてて実験していました。

これにより、目に見えない空力がタイムに影響することを肌で理解することができました。ただ、改めて気がついたのですが、空力の良し悪しって、素人がパッと見ただけではよく分かりません。「向こう側」がそう言うから、なんとなくそうなのかな?と思うけど、「本当?」と思いたくなることもあります。

一方、重量は誰が見ても良し悪しが明らかです。

「重量以外の性能が同じであれば、速く走る上では軽いに越したことはない(ハズ)」というのが一般的な理解であり、これに異論は殆ど無いと思います。実際、プロに供給される最上位モデルのフレームやパーツは軽量に仕上げられていますし、重量(軽量)と価格に相関関係を認めるメーカーが殆どです。

例えば、シマノ12sデュラエースのスプロケット。

デュラエースは、アルテグラ比で実測で62g軽くなりました。ただし、その62gの軽量化と多少の変速性能向上のために、お値段はアルテグラ比でおよそ3万円アップ。

(なお、デュラエースはロー側5枚の材質が違っており、そこだけで約50g軽量化されます。つまり、アルテグラとの総重量差こそ62gですが、ほぼロー側の材質違いによる差と言って差し支え無さそうです)

加えて、軽量化は各部品の「チリツモ」です。2グレード以上「飛び級」すれば話は変わってきますが、1つの部品を軽量モデル・上位グレードに交換したところで、大体は100g軽くなれば御の字です。ハンドル・ステム・シフター・ディレイラーetcおカネを掛けて11つの軽量化を積み重ね、やっと自転車を数百g軽量化する事が出来ます。

ところがその軽量化も、「どれくらい効果があるの?」と問われた時、具体的に回答できる人はあまりいないのではないでしょうか?もちろん、私も回答できません。

確かに、自転車を持ち上げたり車に積み込む際は軽さを実感出来ます。ただ、これを実走中に限定すれば、ゼロ発進からの2漕ぎ目くらいまででは無いでしょうか?平坦路でスピードが乗ったら気がつかないし、ヒルクライムでも「どれだけタイム短縮に繋がっているか?」と言われると、よく分かりません。

これを、「調べてみよう」というのが実験のきっかけです。テーマとしてはありきたりかもしれませんが、「エアロvs軽量」をやってみたからこそ改めて疑問に思いました。

結果は、冒頭に記載したとおりです。

なお、今回はA群(基準)とB群(重量化)で、300gの重量差をつけてヒルクライムを2本ずつ走っています。なぜ重量差を300gにしたかというと、「シマノ12sコンポのアルテグラとデュラエースの重量差が、299gだから」です。

つまり、変速性能や剛性etcの官能性能差と所有満足度を一旦さて置けば、この実験は「コンポをアルテグラからデュラエースへ替えると、ヒルクライムはどれくらい速くなるのか」と言い換えることが出来るかもしれません。

実験方法

「ヒルクライムでは、エアロホイールと軽量ホイールどちらが有利か?」vol.2の実験中に、同時進行でデータ取りをしました。

まず、軽量化(ボトルの中身少)の状態で、裏六甲ヒルクライムの一部を2回走行。その後、自販機で購入した水でボトルを満タンにして、同様に走行。

なお、標題は「300g」としていますが、実際には400g弱の重量差があったと思われます。当日測りを持っていなかったので、以前にメモがわりに撮っていた写真のラインを、水量の目安にしました。

PWRは4.5倍、空気抵抗をなるべく揃えるため、ブラケットポジションのシッティング縛りで登るのも、いつもの実験と同様です。

 

なお、当日は気温が12度程度と低かったので、実験中体感できるレベルの発汗はしておりません。トイレも行っていません。

以上より、体重計で計測した訳ではありませんが、ボトルの水を満タンにした分(と、入り切らなかった水を飲んだ分)で、「少なくとも300g以上は増量した」と判断しています。

実験結果

ヒルクライムTTにおいて、総重量を300g軽量化しても、タイムに差は出ませんでした。

結果から分かること

個人的には、この結果を以て「軽量化なんて全然意味ないですよ」とは書きません。

例えば、ハンドルやシフターを軽量の製品にすることで、ダンシングしたときの振りの軽さ・ダウンヒル時のハンドリングが向上する可能性があります。

また、「軽い方が走行に必要なエネルギーは理論上少ない(ですよね?)から、長時間・長距離乗った際の疲労蓄積が少なくて済む」というメリットは、多いに考えられます。プロの選手は、連日レースを走りながら「ここぞ」という場面で最大のパフォーマンスを発揮する必要があります。その意味で、ほんの僅かでも日々体力の消耗を抑える事は、意味のある事だと想像が出来ます。

ただ、1時間のヒルクライムレースで結果に直結するか?という観点から見ると、軽量化の効果はかなり疑問と言わざるを得ません。

私の場合、スペシャリッシマのコンポをアルテグラからデュラエースに換えれば

  • 測りに乗せたときに、300g軽くなる
  • トップグレードを所有する満足感

これは確実に手に入ります。ただ、1回とはいえ実験の結果を見る限り「ヒルクライムレースの順位・峠のタイムは殆ど変わらない可能性が高い」ようです。

(なお、本投稿はデュラエースの購入・購入者を否定しているわけではありません。個人的にも購入できるものであれば当然購入したいです。)

まとめ

私は、業界各社の「重量はさほど問題では無い、エアロこそ重要」というここ数年の謳い文句を、あまり信用していませんでした。「アマチュアレベルであれば軽さが重要であり、エアロが重要なのはプロの話。単に新しいモノを売りたいが故の、都合の良いデータ・宣伝文句なのでは?」と。

ただ

これらの実験を自分でやってみた事で、自転車の重量に対する認識が少し改まった気がします。

敢えて重くする理由は無いが、ムリ(耐久性・快適性・自転車以外の生活を犠牲に)してまで軽くする必要も無いな」という。

この投稿が、読まれた方の機材選択の参考になれば幸いです。


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